90年代の私設BBSを、逆アセンブルで丸裸にする

アセンブリ解読パズル『SYSCALL: RING ZERO』が2026年7月3日、Steamでリリースされた。開発・パブリッシングはChilling Moose Games、パブリッシングにはThis Is Neatも名を連ねる。価格は¥1,615(通常価格¥1,900からの15%オフ)。ジャンルはカジュアル・インディー・シミュレーション・ストラテジーに分類される。
舞台となるのは、架空の私設BBS(パソコン通信の掲示板システム)。プレイヤーはその内部に残されたディスアセンブル(逆アセンブル)結果を読み解き、壊れたチェック処理にパッチを当て、複数コアのラックを最適化し、実機の波形に合わせてファームウェアを書くという、地に足の着いたリバースエンジニアリング体験を求められる。対応言語は英語のみで、日本語表示には対応していない。動作環境はWindows 11以降、またはmacOS Sequoia 15.2以降(Apple Silicon)で、コントローラーにもフル対応する。
CRACKとPATCH——保護をこじ開け、たった数行で書き換える

謎解きの入口となるのが「CRACK」と「PATCH」だ。画面中央のディスアセンブリ表示には、jnz badやcmp r0, 0x4Eといった実際の命令が並び、プレイヤーはその中の1行を選んでJZ・JNZ・JG・JLのいずれかに書き換える。正解のキーだけを通し、それ以外の鍵をすべて弾く分岐条件を組み立てる、地道で緊張感のあるパズルになっている。

さらに踏み込んだ「SINGLE KEY」の課題では、XOR演算を使ったチェック処理をたどり、定数同士の関係から入力すべき答えを逆算する。トレースパネルにはレジスタの値が1ステップごとに表示され、inc r7のような命令がどう状態を変えていくのかを確認しながら、正解を組み立てていく仕組みだ。
最大9コアのWORM、そしてSCOPEで波形を追う

「WORM」は、最大9つのコア(C0〜C8)を同時に動かすラックプログラミングのモードだ。各コアにはmov down, upのような短い命令列を書き込み、コア同士がデータを渡し合いながら、入力に対して期待される出力を導き出す。画面下部には入力値・期待値・実際の出力値が並び、どこでズレが生じているかを一目で確認できる。

一方「SCOPE」は、オシロスコープに表示された波形どおりに信号を出力するファームウェアを書くモードだ。out p0, 255やslp 4といった命令でDACピンを操作し、目標の周期波形――たとえば「period-8 50%の矩形波」――を再現できればクリアとなる。マイコンから出力ピンへの信号の流れが図で示されており、コードと波形の対応が直感的に把握できる。
214個のノードが連なる、進行を可視化するネットワークマップ

これらCRACK・PATCH・WORM・SCOPEの謎は、1本道ではなく「NETWORK」と呼ばれるノードマップ上に配置されている。ノード同士は線でつながり、あるノードをクリアすると隣接するノードが解放される仕組みだ。加えて「STORY」の進行度も並んで表示され、全214ノードのうち何個を突破したか、残り何個が開放済みかが一目で分かるようになっている。ただ問題を解くだけでなく、盤面全体を少しずつ切り崩していく達成感が味わえそうな構成だ。
おまけは一曲まるごと打ち込めるトラッカーと、ピクセルを描くキャンバス制御

本編の合間には、チップチューン風の作曲ができる「TRACKER」機能も用意されている。ピアノ鍵盤から音を選んで各チャンネルに打ち込み、BPMを設定して1曲を組み立てられる仕様で、90年代のBBS文化に欠かせなかった音楽トラッカーの雰囲気をそのまま再現している。

もうひとつのおまけが「CANVAS」だ。デバイスレジスタ経由でピクセルを塗る命令を書き、64×48のキャンバスを狙った模様で塗りつぶす課題で、メインルーチンからサブルーチンを呼び出す構造を利用しながら効率よく塗り進める腕が試される。
Chilling Moose Games
開発を手がけるChilling Moose Gamesは、90年代の私設BBSを題材にしたアセンブリパズル『SYSCALL: RING ZERO』を制作。パブリッシングはThis Is Neatが担う。
まずは公式サイトとコミュニティをチェック
本作の詳細や最新情報は公式サイトのほか、開発者のX(@samafshari)、公式Discordでも発信されている。記事執筆時点ではリリース直後のためユーザーレビューはまだ付いていないが、Steam実績32個やSteam Cloud対応、オフラインプレイにも対応済みだ。逆アセンブルや低レイヤーのパズルが好きな人は、Steamストアページで紹介文と実際の画面をチェックしてみてほしい。





