卒業を控えた大学生チャーリーが迎える、旅立ちの夜

ビジュアルノベル『Hold My Hand (Or Let Go)』がSteamで配信を開始した。開発・販売は個人開発者のGabbFace。価格は無料で、対応OSはWindows 10以上、インターフェースと音声は英語・スウェーデン語、字幕は英語のみに対応する。

物語の主人公は、スウェーデンの町で暮らす大学生チャーリー。来週に卒業を控えた彼は、その前にこの3年間で出会った友人たちひとりひとりに、別れを告げなければならない。ストアページでは「報われぬ恋、嫉妬、友情、そして許し」をテーマにした線形の物語と紹介されており、卒業という区切りを通して人間関係の機微を描く作品だ。

GabbFace

GabbFace

開発: GabbFace

映画館に集う、旅立ち前の仲間たち

物語の中心にいるのが、幼なじみらしき女性エルヴィラだ。映画館の場面では「遅れてごめんね、もう始まっちゃった?」と駆け込んでくる姿が描かれ、チャーリーとの気安い関係がうかがえる。

同じ映画館には、金髪の友人ベンジャミンも顔を出す。「行くかどうか迷ったけど、結局来ることにしたよ」と飄々と語る一言からも、卒業を控えた友人たちが変わらぬ調子で集まる、何気ない日常の温かさが伝わってくる。

片言の日本語で場を和ませる、個性的な友人としひろ

「キッチン」「としひろのバー」と日本語の看板が下がる店では、としひろという友人が登場。「そうですか!? はじめまして! よろしくお願いします、エルヴィラさん」と、片言まじりの英語と日本語を交ぜて挨拶する場面は、この作品ならではのユーモラスな一幕だ。多国籍な友人関係も、チャーリーが過ごした3年間の色濃さを物語っている。

雪景色から夕焼けまで、二人だけの時間

チャーリーとエルヴィラの関係を深く描く場面も見どころのひとつ。夜の公園で交わされる「雪を好きにさせてくれたのは君だったんだ。前は邪魔で鬱陶しいだけだと思っていたけど、今は綺麗だと思う」という台詞は、時間をかけて育まれた二人の距離感をさりげなく示している。

続く「見て、綺麗だよ」という一言とともに映る夕焼けの情景は、手描きならではの淡い色使いで、卒業という節目を前にした感傷的な空気を静かに強調する。

別れの夜が明けて

物語終盤では、エルヴィラの部屋を訪れる場面も描かれる。「散らかってるけどごめんね」と迎え入れる何気ないやり取りからは、二人の関係がそれまでとは違う段階に進んだことが感じ取れる。

翌朝、「朝もまた顔を合わせるね。朝ごはん食べたいでしょ?」と語りかける場面で物語の一端は締めくくられる。恋愛・嫉妬・友情・許しというテーマが、卒業前の短い時間の中でどのように結末を迎えるのかは、実際にプレイして確かめたいところだ。

『Hold My Hand (Or Let Go)』は現在、Steamストアページで無料配信中。日本語には対応していないが、手描き風のビジュアルと素朴な物語に興味がある人はチェックしておきたい一本だ。