表紙の可愛さに、思わず駆け寄りたくなる

淡い紫のモノクロ調で描かれた少女と、天井から吊るされたキャンディや瓶詰めのお菓子――そんな愛らしい表紙を掲げた新作ビジュアルノベル『Re:メタモルフォーゼ・キャンディーナ』がSteamで配信を開始した。開発は矢澤 豆太郎、パブリッシングはヨアケラボが手がけている。
公式の紹介文によれば、物語は「おんなのこはだれでも甘いキャンディで変身できる」という設定のもと、どのキャンディを選んで「変身」するかによって結末が枝分かれする、短編の選択肢重視型ビジュアルノベルだ。ジャンルはアドベンチャー・カジュアル・インディーに区分されているが、実際に付けられたタグには「心理ホラー」「ダーク」「雰囲気的」の文字も並ぶ。
「変わりたい」を抱えた少女たちの独白

表紙の愛らしさとは裏腹に、物語が最初に見せてくるのは重い独白だ。両手で顔を覆う3人の少女の線画とともに、「何をやってもダメな自分から、もっと素敵な自分に変わりたい」「家族に大事にされていない自分から、もっと良い子の自分に変わりたい」といったテキストが流れる。甘いキャンディで変身するという可愛らしい前提の下に、自己否定や家庭内の孤独感といった重たい感情が横たわっていることが、ここで早々に示される。
キャンディを選ぶ、それだけの単純な操作が結末を分ける

ゲームの操作自体はいたってシンプルだ。テーブルに並んだ棒付きキャンディやタブレット菓子、包み紙のキャンディの中から一つを選ぶ――「キャンディを選ぶ」の一文だけが表示された選択画面に、差し伸べられた手が重なる。SAVE・LOAD・SETTINGSも用意された標準的なノベルゲームのインターフェースだが、この一つの選択が、この先どんな結末に辿り着くかを左右する分岐点になっている。
選んだ先で牙をむく、笑い顔の正体

そして選択の先に待っているのが、このタイトルの本性だ。少女の顔がアップになった場面では、瞳が渦を巻いたように焦点を失い、頬には涙のような線が伝う一方で、口は不自然なまでに笑みの形をつくる。画面の下には「あはははははは!」という笑い声が壊れたように連打される。可愛い変身の物語だと思って読み進めた先に、こうした心理ホラー的などんでん返しが待ち構えている構成だ。

さらに演出はグリッチ表現へとエスカレートする。獣のような顔の模様が敷き詰められた赤と紫のノイズ画面に、「たくさん」という単語が崩れて反復・重なり合う。何かへの執着や強迫観念を思わせるこの一枚は、選んだキャンディによっては物語がどこまで壊れていくかを予感させる。
矢澤 豆太郎
開発: 矢澤 豆太郎 / パブリッシャー: ヨアケラボ
静けさと不穏さの狭間で

一転して、こちらは表情の乏しい少女の素の横顔。恐怖演出が続く中に挟まれるこうした落ち着いた一枚が、逆に「次に何が起きるのか」という緊張感を持続させる役割を果たしている。

そして瞳孔のようにも、渦のようにも見える真っ赤な同心円のビジュアル。派手なジャンプスケアだけでなく、こうした抽象的で不穏なイメージの積み重ねによって「雰囲気的」で「ダーク」という付けられたタグ通りの空気を作り上げている。
配信情報とお菓子選びの前に確認しておきたいこと
『Re:メタモルフォーゼ・キャンディーナ』は現在、Steamストアページで配信中。価格は通常¥470のところ、7月10日まで20%オフの¥376で購入できる。対応言語は日本語・英語、対応OSはWindows 10/11だ。配信開始直後の時点でユーザーレビューは3件とまだ少ないが、いずれも好評となっている。
続報や開発者の情報は、X(@yzw_mmtr)やBluesky、公式YouTubeで発信されている。可愛らしい変身譚の顔をした短編ホラーに興味を持ったら、まずはストアページのスクリーンショットを眺めるところから始めてみてほしい。





