AIとの向き合い方を、二重写しで描くビジュアルノベル

『EULA 2026 人類の創作報告書』がSteamでリリースされた。開発・パブリッシングはMoEater。舞台は画像生成AIが台頭した2026年、駆け出しのイラストレーターである主人公が、友人に勧められたAI画像生成サービス「HumbleAI」の利用規約に同意するか、拒むかを迫られるところから物語が始まる。

本作最大の特徴は、いつでもTabキーで切り替えられる「Organic」と「AI」という二つの表現モード。Organicは人の手で描かれた絵・文章・音楽で構成され、AIはアルゴリズムが生成したコンテンツで組み立てられている。同じ場面を、まったく異なる筆致と声色で二重に体験できる仕掛けだ。

紹介動画

公式YouTubeで公開されたアナウンストレーラーでも、手描きの少女とAI生成の少女が並び立つタイトル画面が象徴的に映し出されている。

誰かの「一枚」に心が波打つ、投稿の海

主人公がイラスト投稿アプリ「Flipper」を覗き込む場面では、無数の落書きやラフスケッチが並ぶタイムラインの中で、誰かの一枚に思わず「うわっ、すごい」と声を漏らす姿が描かれる。ラフしか投稿していないアカウントの画力に驚く――創作をする誰もが覚えのある、比較と嫉妬と憧れが入り混じる瞬間だ。

日常の中の孤独と、ちいさな緩衝材

主人公を取り巻く人間関係も丁寧に描かれる。友人ソミンとの会話では、「一人で食べると、投稿する写真も撮れなくてつまらない」という何気ない一言から、日常の中の孤独と、誰かと共有したい気持ちがにじむ。

シリアスな空気の合間には、「こういう時は、この緑色の飲み物が必要だ……」と怪しげな緑のボトルを掲げるコミカルな一幕も挟まる。重いテーマを扱いながらも、息継ぎのようなユーモアを忘れない構成だ。

「正しい」を巡る叫びと、分岐していく道

物語は次第に、人間関係の軋轢や心の重さにも踏み込んでいく。スマートフォンを挟んでの言い争いでは、「何が『正しい』んだ」と叫ぶ声が響く。何を受け入れ、何を拒むかという本作のテーマは、AIと創作の話に留まらず、対人関係の中の「正しさ」の押し付けにも重なっていく。

処方箋の入った封筒を無言で握らせる姉、その手が手首をかすめる描写など、言葉少なに緊張感を積み上げる場面も用意されており、選択によって分かれる複数のエンディングへとつながっていく。

作中にも棲む、人間とAIの“擁護者”たち

物語の背後では、チャットログという形で「人間制作物擁護者」を名乗るキャラクターが台本通りに進めようとする様子も描かれる。その傍らに置かれた、バナナとキウイを粘着テープで巻きつけたシュールなキリンの一枚は、AI生成ならではの奇妙な質感を体現している。

対する「AI擁護者」は「これ、バレちゃったかな?」と茶目っ気たっぷりに割り込んでくる。人間側とAI側、それぞれの立場を擬人化したようなやり取りが随所に挟まり、シリアスな本編にメタ的なユーモアを添えている。

MoEater

MoEater

開発: MoEater

発売中、対応言語や特典もチェック

『EULA 2026 人類の創作報告書』は現在、発売記念の14%オフとなる842円(通常980円)でSteamにて販売中。対応言語は日本語・英語・韓国語・簡体字中国語で、実績6種のほかSteamクラウドにも対応する。最新情報は公式サイトや公式X(@MoEaterOfficial)、公式Discordでも発信されている。AI時代の「創作」との向き合い方を問う一本として、気になる人はSteamストアページをチェックしてほしい。

編集部