セルシスの上期決算、CLIP STUDIO PAINTがけん引し大幅増収増益に

株式会社セルシスは、2026年12月期第2四半期(中間期、2026年1〜6月)の決算を発表した。売上高は5,563,083千円で前年同期比17.4%増、営業利益は2,221,446千円で同44.8%増となり、営業利益率も39.9%(前年同期比7.5ポイント増)まで上昇した。経常利益は2,241,914千円(同46.4%増)、中間純利益は1,503,179千円(同72.6%増)と、いずれも大幅な増益となっている。

イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」を中心とした事業が好調に推移した結果、月次・四半期ベースの売上高や利益指標で過去最高を更新。2026年2月13日時点の期初計画に対する進捗率は売上高110.9%、営業利益139.0%と大きく上回っており、この日開示された修正後の通期業績予想に対しても、売上高51.5%、営業利益55.5%まで進捗している。

通期業績予想を上方修正、けん引役は3月のメジャーバージョンアップ

好調な上期実績を受け、セルシスは2026年12月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は10,810百万円(前回発表予想比8.5%増、前期実績比14.1%増)、営業利益は4,000百万円(前回予想比20.6%増、前期実績比34.8%増)、経常利益は4,000百万円(同21.9%増)、当期純利益は2,670百万円(同21.8%増)を見込む。

修正の背景にあるのは、2026年3月に提供を開始した「CLIP STUDIO PAINT」のメジャーバージョンアップ「Ver.5.0」だ。世界中のユーザーから好評を得たことで、買い切り版の販売・サブスクリプション契約数がともに当初計画を上回る実績となった。あわせて、新興国向けマーケティングの強化や、タブレット・Android端末を中心としたモバイルユーザー向けの機能拡充・販促施策も業績を押し上げた。今回の上方修正により、現在推進中の中期経営計画「2025-2027」で掲げる売上高・営業利益目標は、1年前倒しで達成する見込みだという。

なお、Ver.5.0の提供にあわせて買い切り版の価格も平均10%値上げされている。従来の買い切りモデルのユーザーは、Ver.5.0以降の最新機能を使うにはサブスクリプション契約か優待購入が必要になる仕組みへと変更されており、この優待購入や買い直し需要も買い切り版の売上に貢献した。値上げ後も販売キャンペーンは想定を上回る好調な推移を見せているという。

出荷6700万本、ARR63億円 数字で見るCLIP STUDIO PAINTの成長

「CLIP STUDIO PAINT」単体の指標を見ても、成長の勢いがうかがえる。累計出荷本数は2026年6月時点で6,700万本に達し、前年同月比27.5%増。サブスクリプションのARR(年間経常収益)は同月時点で63億円となり、前年同月比30.7%増と過去最高を更新した。一方で、ユーザーの継続利用を示す月次チャーンレートは2026年6月末時点で4.9%にとどまっている。

同アプリは世界11言語に対応しており、出荷本数の80%以上を日本語以外の海外市場が占める。詳細な決算資料はセルシス公式サイトのIR情報ページで確認できる。

増配と自己株式消却で株主還元も強化

業績の伸びにあわせ、株主還元も強化されている。2026年12月期の年間配当予想は、当初の38円から12円増配して50円となった。内訳は中間配当2円増と、創立35周年を記念した特別配当10円増。配当の支払開始予定日は2026年9月29日としている。

また、資本効率の向上と株主還元の充実を重視する方針のもと、2026年3月16日付で自己株式150万株(消却前の発行済株式総数に対する割合4.14%)の消却も実施した。計画通りに業績が推移した場合、通期のROE(自己資本利益率)は50%以上となる見込みで、中期経営計画で掲げる目標「30%以上」を大きく上回る水準だ。

クリエイタープラットフォーム分野も着実に拡大

セルシスは「CLIP STUDIO PAINT」の開発・販売を中心とする「クリエイターサポート分野」に加え、新プラットフォームサービスなどの「クリエイタープラットフォーム分野」も展開している。同分野が提供するサービスの全世界利用者数は1,300万人超で、前年同月比24.7%増となった。

マンガ編集者と作家志望者のマッチングサービス「モチコミonline」の運営に加え、コンテンツ制作にとどまらない新サービス「クリエイター活動の場」を2026年以降のリリースに向けて企画・開発中だという。同社は、自ら創作する楽しさやスキル向上、コミュニティでの共感といった「AIに代替されない創作体験」の提供を軸とした事業構造を確立済みとしており、AI活用が広がる環境下でも「CLIP STUDIO PAINT」のユーザー数・売上は成長を続けているとしている。