無人の改札に佇む少女、『駅前のカフカ』体験版がSteamで配信開始

コマンド入力式アドベンチャー『駅前のカフカ』(英題:Kafka at the Station)の体験版がSteamストアページで公開された。開発は個人開発スタジオのNeji. Games。公開の告知は開発者公式Xから行われている。今回配信されたのは第1章に相当する内容で、今後もアップデートが予定されているという。

「right」「talk girl」――英単語のコマンドで少女に話しかける

本作の最大の特徴は、選択肢ではなくキーボードで英単語そのものを打ち込んで主人公を動かす操作方式だ。画面には「command >」の入力欄があり、「right」「left」で移動し、「look」で周囲を確認、「talk girl」と打てば駅の改札前にたたずむ少女に話しかけられる。誰もいないはずの駅で、遠くから名前を呼ぶ声が聞こえる――というところから物語が始まる構成のようだ。

紹介動画

開発元の公式YouTubeチャンネルでは、トレーラー映像「Kafka at the Station - First Trailer」も公開されている。ドット絵の質感と、静かな駅の空気感を先に確認しておきたい。

駅ビルの貼り紙も券売機も、英単語で読み解いていく

駅ビルのポスターが並ぶ通路に座り込む主人公
奥のポスター「poster」や駅員用の通用口「door」など、風景の一つひとつが英単語として認識される
コマンド入力待ちの自動券売機
券売機の前でも「command >」の入力待ちが続き、駅のあらゆる設備が探索の対象になる

背景を彩る駅ビルのテナントの貼り紙や、奥に見える駅員用の通用口も、それぞれ「poster」「door」といった英単語として画面上に示される。無機質な券売機の前でもコマンド入力が続き、プレイヤーは駅という一つの空間を、単語を手がかりに少しずつ読み解いていくことになる。対応言語は英語・日本語・簡体字中国語・繁体字中国語・韓国語の5言語で、対応OSはWindows 10(64bit以上)とmacOS 11以上(Apple M1/Intel CPU)。

ガチャガチャの前で立ち尽くす、財布を持たない主人公

駅のガチャガチャ(カプセルトイ)機の前では、「100円玉を入れれば回せそうだが、あいにく財布を持っていない」という一文が表示される。ちょっとしたユーモアを交えつつ、プレイヤーに「今なにを持っていて、なにを持っていないか」を意識させる仕掛けだ。こうした細部の作り込みが、無人駅という舞台に確かな生活感を与えている。

もう一人の声が投げかける、意味深な言葉

一方で物語には、テーブルを挟んで向き合う人物とのやり取りも描かれる。「私にしか与えられないものがあると同時に、君にしかできないことがある」――そう語りかける場面からは、単なる駅の探索にとどまらない、もう一段深いドラマが用意されていることがうかがえる。Neji. Games公式サイトによれば、同スタジオはピクセルアートとコマンド入力、そして「場所の記憶」をテーマにしたナラティブゲームづくりを掲げている。今回の体験版も、その方向性を体現した一作といえそうだ。

製品版のリリースは2027年を予定。現在配信中の体験版で、まずはこの駅の空気に触れてみてはどうだろうか。