1986年のマイアミを、架空の都市「バイスシティ」として作り直したゲームがある。2002年10月29日に北米で発売された『グランド・セフト・オート・バイスシティ』だ。開発はロックスター・ノース、発売はロックスター・ゲームス。**プレイヤーは刑務所から出てきたマフィアの構成員トミー・ベルセッティとなり、縁もゆかりもない土地のドラッグ取引の襲撃に巻き込まれ、そこから裏社会で成り上がっていく。**三人称視点で、徒歩か車で街を移動する。2つの島からなる市街地はどこへ行くのも自由で、物語を進めずにただ走り回っていてもいい。シリーズのメインタイトル第4作で、前作『グランド・セフト・オートIII』の前日譚にあたる。

『III』の追加ミッション集になるはずだった
この企画は単独の作品として始まったわけではない。『III』のWindows版が出たあと、開発チームは武器・車両・ミッションを足す「ミッションパック」を作る話をしていて、議論の末に独立した1本へ切り替えた。それが『バイスシティ』になった。
中核50人のチームが18か月をかけ、本格的な制作が始まったのは2001年末。エグゼクティブプロデューサーのサム・ハウザーは「本当に動き出したのは2002年初頭」と語っており、そこから約9か月だった。2002年5月22日のE3で発表。**開発費500万ドル・宣伝費1320万ドルは、当時のロックスター・ノース史上もっとも高額だった。**発売日は当初10月22日の予定だったが、9月5日に「需要に応えるため」10月29日へ延期された。10月15日に開発は止まり、製造へ回された。
舞台づくりの材料は現実と映画の両方だ。キューバ系・ハイチ系の移民コミュニティ、バイカーギャング、1980年代のクラック流行、マイアミのマフィアの麻薬王、グラムメタルの全盛。映像面では『スカーフェイス』(1983年)と『マイアミ・バイス』(1984〜1990年)の影響が大きい。開発陣は、『III』の現代的なリバティーシティとは逆に「同時代ではない場所」を風刺したかった。

62本のレビューの平均が95点
評価はほぼ満場一致だった。Metacriticのスコアは62本のレビューの平均で100点中95点。**2002年のPS2タイトルで最高評価、PS2全体でも(同点の複数作と並んで)5位という位置につけている。**音楽とサウンド、終わりのないプレイ、オープンワールドの設計が評価され、操作性と技術的な問題には批判も出た。
IGNのダグラス・ペリーは「2002年でもっとも印象的なゲームの一つ」と断じ、GameSpyのレイモンド・パディーヤは「深く、たまらなく楽しく、独特」と書いた。**ミッションは『III』からの進歩と受け取られ、主人公トミーもクロードより魅力的だと評された。**Edgeはトミーが「カリスマを汗のようににじませる」とし、声を演じたレイ・リオッタを称えている。街の作り込みについても、前作より細部が濃く、生きているようだと複数のレビューが指摘した。
残したもの
USA Todayのマイク・スナイダーは、相互作用性・暴力描写・サウンドトラックを挙げて本作が「ビデオゲームの基準を上げた」と書いた。Kotakuのルーク・プランケットとPC Magazineのジェフリー・L・ウィルソンはどちらもシリーズ最高作と呼び、前者は「完璧なGTA体験」と評している。英Official UK PlayStation Magazineの読者投票ではPS2史上4番目の作品に選ばれ、2006年のファミ通読者100選にも入った数少ない洋ゲーの一つになった。
アートディレクターのアーロン・ガーバットは、『III』『バイスシティ』『サンアンドレアス』の3作がオープンワールドゲームの流れを作ったと見ている。そしてバイスシティという街は、2026年の『グランド・セフト・オートVI』で新たな姿で戻ってくる。
いま遊べるのか
当時はPS2で登場し、2003年5月13日にWindows版、同年にXboxで『III』との2本組『Double Pack』が出た。2005年の『The Trilogy』、2010年のOS X版、2012年の10周年記念のモバイル移植と移植が続き、2019年9月にはRockstar Games Launcherにも追加された。2021年11月11日には、グラフィックとシステムを大きく改善したリマスター『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』が発売されている。現行の配信で対応機種として挙がっているのはMicrosoft Windows / PlayStation 3 / PlayStation 4。
Windows版は現在もSteamで販売中(ストアページ)。価格とユーザーレビューの最新の状況はストアページで確認できる。レイティングはCERO:Z(18才以上のみ対象)、ESRB:M(17歳以上対象)で、日本語版はカプコンが2004年5月20日にPS2とWindows向けに発売した。
当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。









