SHIFTは2026年8月期第3四半期の決算説明資料を公開した。ゲーム業界では、テストやデバッグを頼む先として名前を知られている会社だ。

SHIFT 2026年8月期 第3四半期 4ページ
P4この数字が載っているページ。SHIFTが公開した決算説明資料より。

会社全体は438億円、ゲーム関連は18億円

第3四半期の売上高は438億円。前年同期から29.9%増えた。4月にグループ入りしたニッセイコムを除いても20%超の成長で、AI関連の売上は79億円、全体の18%に達している。

その資料の46ページに、業界ごとの売上が並ぶ。正式な区分名は「ソーシャル・コンシューマーゲーム関連」、資料での略称は「エンタメ」。この分野の売上は18億円だ。前年同期の15億円から21%伸びている。

伸びてはいる。だが、他の業界と横に並べると景色が変わる。銀行・金融機関は28億円。各種製造業は41億円。量販・小売・物流は36億円。通信・各種メディアは31億円。省庁・地方自治体は26億円。ERP・SAP・パッケージは59億円。資料に並ぶ業界区分のなかで、ゲーム関連の18億円は最も小さい。

注記も見ておく。ERPの59億円は、各業界に含まれるERP系案件とERP系グループ会社を合算した数字で、他の区分と重なっている。グループ会社合算の190億円も同じく別集計だ。だから各区分を足しても438億円にはならない。それでも、ゲーム関連が銀行向けより小さいという並びは変わらない。

伸び率でもゲームは中位

伸び率を見ると、エネルギー・社会インフラが49%、銀行・金融機関が42%、各種製造業が27%、省庁・公共が26%。ゲーム関連の21%はこれらの後ろに付く。会社全体の成長を引っ張っているのは、大きな業務システムを抱える業界だ。

理由は資料の別のページから読み取れる。SHIFTがいま力を入れているのは、AIで古いシステムを解析して作り直す「AIモダナイゼーション」、コンサルティング、それに大型・長期案件の獲得だ。5か月で2億STEPのソースコードを解析し、提案できる案件は111億円分に積み上がった。コンサル事業の実案件として挙がるのは金融機関や商社、不動産業。AIテストの事例もスタートアップ系、公共事業系、通信・エネルギー領域だ。ゲームの名前はここには出てこない。営業の軸を大型案件に寄せた結果として、企業システム側の伸びが際立った、と見るのが自然だ。

編集部の見立て:ゲームが小さいのではなく、会社が大きくなった

ここからは編集部の見方だ。18億円という数字は、SHIFTがゲームから離れたことを示すものではない。前年から21%伸びており、会社全体のニッセイコムを除いた成長率21.2%とほぼ同じ歩調だ。ゲーム関連の仕事は縮んでいない。

変わったのは周りの方だ。銀行、製造、公共、ERP。ソフトウェアテストで培った品質保証の型をあらゆる業界のシステムに広げた結果、ゲームは数ある業界のひとつになった。通期の売上予想は1,600億円。来期は1,900〜2,000億円を狙うと会社は宣言している。この規模の中で、最小の区分であるゲーム関連が21%で伸び続けていることは、むしろゲーム業界との結びつきがしっかり残っている証拠と読める。

ゲーム開発者にとって身近なQAのパートナーは、いまや銀行や役所のシステムも同じ手つきで試験する会社になった。デバッグ会社のイメージのまま止まっていたのは、こちら側だったのかもしれない。


出典: SHIFTが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。

本記事はSHIFTが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。