2013年8月19日、Volition開発/Deep Silver発売のオープンワールド・アクション『Saints Row IV』が発売された。プレイヤーが自分で作った主人公が、テロの脅威を退けた功績でアメリカ大統領になっている、というところから物語が始まる。就任から5年後、Zinと名乗るエイリアン帝国の襲撃を受け、大統領も仲間のギャング「サード・ストリート・セインツ」も、架空都市スティールポートを模したシミュレーション世界に閉じ込められてしまう。
シリーズを知らない人のために書いておくと、Saints Rowは2006年の一作目から続くギャング物のオープンワールドで、街を自由に歩き回りながらメインミッションとサイドミッションを好きな順で進めていく。四作目はそこにSF要素と超能力を持ち込んだ。日本語版のキャッチコピーは「リアルなだけじゃつまらない!ハチャメチャやろうぜ!」。そして本作は、一作目から続いてきたセインツの物語の完結編にあたる。

冗談が本編になるまで
企画の出自が変わっている。『Saints Row: The Third』の後、Volitionは新都市を舞台にした続編『Saints Row: Part Four』の準備を進める一方で、2012年のエイプリルフールのジョークとして発表した拡張パック『Enter the Dominatrix』を、そのまま実際に開発していた。エイリアンの司令官Zinyakがスティールポートのシミュレーションに主人公を閉じ込め、その中で超能力を使う——という、いまの本編そのものの骨格である。
当時、親会社THQは経営が傾いていた。社長のJason Rubinは子会社のVolitionに、この拡張パックの要素をフルタイトルへ育てるよう促す。2012年6月、会社は『Part Four』の中止と、拡張パックを完全な続編『Saints Row IV』へ拡大することを発表した。次世代機の噂が流れる前の2013年8月に出す、という発売時期の判断も、売上への影響を避けるための戦略だった。THQは2013年初頭に破産を申請し、VolitionはKoch Mediaへ売却されて同社初の内製スタジオとなる。Red Factionシリーズの権利は付いてこなかった。新たな目標は「プレイヤーが混沌の担い手(an agent of mayhem)である」オープンワールドを作ること。会社全体がこの一本にかかりきりになった。

「もっとやり過ぎられるのか」への回答
シリーズは各作に核となる意図があり、最初の三作が「突飛さと不敬さ」を積み上げてきたのに対し、四作目は「超常と超能力」に焦点を当てた。シニアプロデューサーのJim Booneは、レビュアーから「これ以上やり過ぎられるのか」と問われたことを振り返っている。
発売後、本作は初週で100万本以上を売った(Volitionは2013年時点で累計本数を公表していない)。Metacriticでは、PC・PS3・PS4・Xbox 360で概ね好意的な評価を獲得。一方でXbox OneとNintendo Switch版は賛否が分かれた。評価されたのは度を越したユーモアとキャラクターカスタマイズの豊富さで、批判されたのは歯ごたえの無さである。
複数の評者が指摘したのが、性別の扱いの「公平さ」だった。PolygonのDanielle Riendeauは本作を「大きくて、間抜けで、自己言及的な楽しさ」と評し、「プレイヤーの全能感を突き詰めた無茶な試み」という目標を達成していると書いた。**超能力の追加は「プレイヤーの自由度で既に知られていたジャンルから、制約を吹き飛ばした」**とも。特に評価したのは、同性の相手と関係を結べたり、ゲーム途中で性別を変更できたりする女性キャラクターが、女性であることで違う扱いを受けない点。同時に、女性とセックスワーカーを結び付け続ける描写は「問題含み」で、少年向け犯罪ドラマだった頃の名残だと指摘している。ハッカーで元FBI捜査官のKinzie Kensingtonの演技にも光が当たった。EurogamerのChris Schillingは、超能力によってシリーズがまたも再発明に成功したと述べた。
いま遊べるのか
発売は2013年8月、Windows・PlayStation 3・Xbox 360向け。2015年にPlayStation 4、Xbox One、Linuxへ移植され、2020年3月27日にNintendo Switch版、2021年11月1日にGoogle Stadia版が出ている。
現在はSteamで**¥2,389**(Windows・Linux対応)。レビュー77,576件で好評88%という評価が付いている。
ストアページ: https://store.steampowered.com/app/206420/
当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる
当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。







