カバーはVTuberグループ「ホロライブプロダクション」を運営する会社だ。8月12日に公開された2027年3月期第1四半期の決算説明資料の付録に、サービス別の売上構成比をまとめた一覧表がある。前期(2026年3月期)の売上高約493億円の内訳だ。
VTuberの会社と聞けば、収益の中心はYouTubeでの配信——メンバーシップの月額料金や、視聴者がライブ配信で課金するSuper Chat——を思い浮かべる人が多いはずだ。ところが資料によると、その「配信/コンテンツ」分野が売上高に占める割合は18.5%。5分の1に届かない。
最大の稼ぎ頭はグッズ販売の48.1%
では何で稼いでいるのか。答えはマーチャンダイジング、つまりグッズ販売だ。構成比は48.1%で、売上の半分近くを占める最大の柱となっている。残りはライブ/イベントが18.7%、企業コラボなどのライセンス/タイアップが14.6%だ。
面白いのは、資料自身がこの4分野を2つに分けて説明していることだ。配信とライブ/イベントは「VTuber・ファンベースを育成」する側。マーチャンダイジングとライセンス/タイアップは「多面的なコマース展開」、つまり稼ぐ側。配信でファンとの絆を築き、そこで生まれた熱量をグッズやコラボでお金に変える——という構造を、会社自身がはっきり描いている。
そしてグッズ販売の中には、ゲーム好きになじみ深い商品が含まれている。トレーディングカードゲーム「hololive OFFICIAL CARD GAME」だ。資料はTCGを「主要な事業基盤かつリアルのファン接点」と位置づけ、北米をはじめとする海外展開の強化まで打ち出している。
初のスマホゲームが「稼ぐ側」に加わった
この構図に今期、新しい駒が加わった。7月23日に全世界同時リリースされた、カバー初のスマートフォンゲーム『hololive Dreams』だ。資料によれば初日に100万ダウンロードを突破し、足下では200万ダウンロードを超えた。リリースしたすべてのストアのセールスランキングで1位も獲得している。会社は関連実績が期初想定を上回って推移しているとし、ゲーム分野を「持続性の高い事業の柱」として立ち上がりを確認したと述べた。
4月には原宿に公式店舗も開店した。カード、ゲーム、リアル店舗と、ファンがお金を使う場所は配信の外側へ広がり続けている。
編集部の見立て:配信は「稼ぐ場」ではなく「育てる場」
ここからは編集部の見方だ。18.5%という数字は、カバーが「投げ銭で稼ぐ配信の会社」ではないことを示している。配信はファンを育てる入り口であり、稼ぐのはグッズ・カード・ライセンスというコマースの側。キャラクターへの愛着を軸に商品を多面展開する、IP企業の形にすでになっているのだ。
そのコマースの最前線に、いまTCGとスマホゲームが立っている。ゲームはこの会社にとって副業ではなく、稼ぐ側の中心へ入りつつある新戦力だ。VTuberの決算の中で、ゲームの存在感はこれから確実に増していく。
出典: カバー(hololive)が公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。
本記事はカバー(hololive)が公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。











