2003年10月28日、ユービーアイソフト・モントリオールの『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』が発売された。シリーズの生みの親ジョーダン・メックナーが手がけた『プリンス・オブ・ペルシャ』のリブート(作り直し)作品で、PS2・Xbox・ゲームキューブ・ゲームボーイアドバンス・Windowsへ、2003年10月から11月にかけて順次リリースされた。日本では2004年9月2日に、ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されている。

『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』の画面

どういうゲームなのか

主人公は名前を与えられない「プリンス」。父王が裏切り者の大臣にそそのかされて古代都市を攻め落とし、その戦いのなかでプリンスは「時の短剣(Dagger of Time)」を手に入れる。同時に父の軍は、謎の「時間の砂」を封じた砂時計を奪っていた。砂を贈り物としてアザドのサルタンの宮殿へ持ち込んだ大臣は、プリンスを騙して砂を解き放たせ、アザドの人々を自分の支配下にある凶暴な怪物へ変えてしまう。砂の力を知る王女ファラーと手を組み、自分の過ちを正して大臣の企みを砕くまでが本編だ。

遊びの中心はプリンスの身体能力を使ったアスレチックな移動で、その合間に砂が生んだ怪物との戦闘が挟まる。そしてゲームの鍵になる仕掛けが、手に入れたあの時の短剣そのものである。

『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』の画面

65人の若いチームが、150以上の試作をくり返した

企画の立ち上げは2001年の第2四半期、ユービーアイソフトがシリーズのライセンスを買った直後に始まった。ただしカタログを持っていても、IP自体は依然メックナーのもので、彼は『プリンス・オブ・ペルシャ3D』での苦い経験から復帰に乗り気ではなかった。そこでユービーアイソフトは試作アセットを作り、コンセプトと映像を見せて協力を求める。出来に感心したメックナーはクリエイティブ・コンサルタントとして参加し、やがてゲームのデザイナー兼脚本家まで引き受けた。

本格的な制作は2001年6月開始、ピーク時は社内で「PoPチーム」と呼ばれた65人体制。アートディレクターのラファエル・ラコステは、メンバーの多くが新卒を含む若手で、「試して間違えて、新しいIPを作ることを大いに楽しむ」空気だったと振り返っている。開発は『スプリンターセル』と並走し、リサーチとして原典の『千夜一夜物語』が読み込まれた。製品版に至るまでに、チームは150以上のバージョンを通している。

絶賛されたが、北米では売れなかった

発売後の評価は高い。Edgeは敵の再出現による難易度の跳ね上がりを指摘しつつ「どれだけ賞賛しても足りない」と評し、IGNのマット・カサマッシーナも体験全体を楽しんだと書いた。

一方で売れ方は地域差が激しかった。2003年末までに世界200万本、ヨーロッパだけで2004年2月までに110万本、3月末には全世界240万本。これに対し北米デビューは不振で、12月時点でPS2版21万8000本、Xbox版12万8000本、ゲームキューブ版8万5000本にとどまる。同時期に出た『Beyond Good & Evil』などの有力作にぶつかったことが原因と見られ、ユービーアイソフトは本作の購入者に自社の他タイトルを無料で付ける施策で販売を押し上げた。日本では発売週に14,000本を売って7位につけ、西洋産タイトルとしては高い数字と評された(2004年末までに26,116本)。北米のPS2版は2006年7月までに70万本、推定売上2400万ドルに達し、全プラットフォーム合計では2014年時点で1400万本を超えた。

残したものも大きい。同じプリンスを主役にした『ケンシノココロ』『二つの魂』が直接の続編として作られ、システムを継いだ『忘却の砂』も生まれた。映画化もされている。なおリメイク版は開発されていたが、2026年に中止となった。

いま遊べるのか

当時の対応機種はPS2、Xbox、ニンテンドーゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス、Windows。現在はSteamでWindows版が**¥1,320**で販売中、レビューも投稿されている。

ストア: https://store.steampowered.com/app/13600/


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。