家庭用・PCが9.6%増、大型案件の停止があっても前年超え
トーセの2026年8月期第3四半期決算。ゲーム事業の売上高は累計45億3,800万円で、前年同期に比べ4.2%増えた。牽引したのは家庭用ゲーム機・PC関連で、36億9,200万円と9.6%の増収だ。
この期のトーセには逆風があった。海外の大手ゲーム会社と進めていた大型開発プロジェクトが、先方の方針変更により2026年2月末に一時停止(再開時期未定)と決まり、3月以降、開発スタッフの一部に稼働の空きが出たのだ。第3四半期の3ヶ月間だけを見れば、売上は第1・第2四半期より減っている。それでも第2四半期までの活発な開発進行の積み上げが効き、累計では前年を上回る水準を保った。通期予想でもゲーム事業は1.1%の増収を見込んでおり、家庭用・PCの伸びは一時の特需ではない。
スマホ関連は14.1%減、新作の開発は「進行なし」
一方のスマートフォン関連は8億4,200万円で、14.1%の減収。そして資料にはこう書かれている。新規開発は家庭用ゲーム機向けを優先しており、前期に続き、進行中のスマホ向け新規ゲームの開発はない。売上の中身は運営業務が中心で、その運営も、長年携わってきたタイトル1件が2026年4月にサービス終了を迎えた。
なお、ゲーム事業にはもうひとつ「その他」の区分があり、アミューズメントやパチンコ・パチスロ関連で売上高300万円。家庭用・PC、スマホ、その他を合わせたものが、ゲーム事業全体の45億3,800万円である。
受注の先行きも家庭用に寄っている。受注済みで5億円以上の売上が見込まれる主要プロジェクトとして資料に並ぶのは、全て「家庭用ゲーム機・PC関連」の案件だ。当期中に新たに受注したプロジェクトE・Fもここに入り、対応機種はいずれもマルチプラットフォームの予定となっている。
編集部の見立て
ここからは編集部の見方だ。「ゲーム業界の主戦場はスマホ」というイメージは今も根強い。だが受託開発の現場から見える景色は逆で、トーセに舞い込む仕事は家庭用・PCに集中している。スマホ向け新作を「作れない」のではなく「家庭用を優先して作らない」と会社自身が書いているのだから、発注側であるゲーム各社の開発投資が家庭用・PCタイトルへ向かっている、と見るのが自然だ。大型案件の一時停止という不運はあったが、新規のE・Fは2027年8月期以降に本格的に売上へ貢献する見込み。数多くのタイトルを裏方として支えてきた会社の受注簿は、いま家庭用一色である。
出典: トーセが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。
本記事はトーセが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。










