技術の名門、第1四半期は逆風
シリコンスタジオといえば、ポストエフェクトミドルウェア「YEBIS」やリアルタイムグローバルイルミネーションの「Enlighten」。ゲームの画面を裏側から磨いてきた技術の会社だ。その2026年11月期第1四半期は、売上高9億400万円で前年同期比8.5%減、営業利益は1億6,400万円の赤字だった。資料の冒頭で会社自身が「2024年からの国内ゲーム業界の市場環境の悪化により、大きな影響を受けて」いると書いている。
本業である開発推進・支援事業(受託開発・ミドルウェア・オンラインの3つからなる)は、売上5億2,700万円で13.6%減。昨年度に受注した3DCG映像制作案件で損失の発生が見込まれ、7,900万円の受注損失引当金を計上したことも響き、セグメント利益は6,400万円の赤字となった。
逆風の中で伸びたのは「人材事業」
そんな中で利益を伸ばした事業がある。ゲーム・映像業界に特化した人材紹介・派遣を手がける、人材事業だ。売上は3億7,600万円とほぼ横ばい(0.1%減)ながら、セグメント利益は前年同期の3,800万円から5,100万円へ、35.3%の増益。2つある事業のうち、黒字はこちらだけ。技術の会社をいま支えているのは、「人」を扱う事業ということになる。
伸びたのは人材紹介で、成約数は56名と前期比9.8%増。従来の大手顧客中心から、配信系エンターテインメント業界や中小スタジオへと営業先を広げたことが効いたと資料は説明する。一方で人材派遣は延べ554名で4.5%減。顧客が求めるのはミドルハイクラスなのに、派遣を希望するのはジュニア中心、というミスマッチが進んでいるという。
編集部の見立て:技術の会社を「人」が支える
ここからは編集部の見方だ。人材事業は2003年に始まった古参の事業で、業績推移をさかのぼると、2020年11月期には人材事業の営業利益4億1,500万円に対し、開発推進・支援事業は1億300万円。技術の会社でありながら、人材が利益の柱になる年は以前からあった。今回の数字は、ゲーム業界の逆風でその構造が再び表に出たものと見るのが自然だ。
もうひとつ面白いのは、紹介の伸びが「大手から配信系エンタメや中小スタジオへの拡大」で生まれたという説明だ。ゲーム業界の採用の主役が、大手から周辺へ広がりつつあることの表れとも読める。
なお技術側の赤字には7,900万円という一時的な引当金が含まれており、会社は通期で営業利益1億2,200万円の黒字予想を変えていない(案件の影響額は精査中としている)。ゲームを裏方の技術で支えてきた会社が、市況の底では「人」の事業で耐える。小さな会社の粘り方として、覚えておきたい数字だ。
出典: シリコンスタジオが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。
本記事はシリコンスタジオが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。











