ネクソンが8月13日に発表した2026年度第2四半期決算。全社の売上収益は1,211億円だった。牽引したのは、四半期として過去最高を更新したメイプルストーリーフランチャイズ——ここまでは、ネクソンをよく知る人ほど「いつもの光景」に見えるだろう。
意外なのはその次だ。この四半期、全社売上の約15%にあたる183億円を、欧米生まれの買い切りシューター『ARC Raiders』が稼いでいた。
買い切りの欧米シューターが「約15%」
『ARC Raiders』は、ネクソン傘下のスウェーデンの開発会社Embark Studiosが手がけるエクストラクションシューターだ。基本プレイ無料の運営型タイトルが並ぶネクソンのラインナップでは珍しい、売り切り型である。資料によれば、この四半期だけで80万本を追加して累計販売本数は1,630万本に到達し、累計売上収益は880億円を超えた。
メイプルストーリーや『アラド戦記』といった韓国発の基本無料オンラインゲームを長年運営してきた会社で、その売上の約15%を欧米製の買い切りシューターが占める。ネクソンの「いつもの顔ぶれ」からは想像しにくい構図だ。

『ARC Raiders』の画面。画像はSteamストアの公開素材
北米及び欧州が255億円、中国を上回った
地域別に見ると、変化はさらにはっきりする。北米及び欧州の売上収益は255億円。前年同期は95億円だった。資料はこの成長の牽引役を『ARC Raiders』だと明記している。
一方、長年の柱だった中国は194億円(前年同期は269億円)。PC版『アラド戦記』の新シーズンアップデートの立ち上がりが低調だったためだが、資料では「想定通りに推移」とされており、周年アップデートがコアユーザーの定着に貢献したという。最大の韓国(611億円)は揺るがないものの、北米及び欧州が中国を上回る——そんな順位の入れ替わりが起きた四半期だった。
編集部の見立て:一発のヒットではなく「型」になった
ここからは編集部の見方だ。注目したいのは、ネクソン自身がこの成功を偶然と見ていないこと。資料には、『ARC Raiders』の成功が「欧米市場を切り拓くゲーム開発と展開を再現可能な戦略であることを実証」したとあり、Embarkが取り組む少人数・迅速な開発の新技術戦略を「ネクソンのグローバル展開における突破口」と位置づけている。ヒットを喜ぶ書き方ではなく、勝ち方の「型」として説明しているのだ。
しかも流れは欧米で止まらない。7月にはパートナーのテンセントが中国で『ARC Raiders』のクローズドアルファテストを実施し、目標を上回る登録者数を集めたという。欧米で当てたゲームを、今度はアジアの巨大市場へ持ち込む逆輸入である。10月にはローンチ以来最大のアップデート「Frozen Trail」も控える。
韓国産の基本無料オンラインゲームで育った会社が、欧米製の買い切りシューターをもう一本の柱に育てつつある。「メイプルの会社」という看板の隣に、新しい柱が立った四半期だった。
出典: ネクソンが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。
本記事はネクソンが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。










