経常利益率90.5%という数字

コーエーテクモホールディングスの2027年3月期第1四半期は、売上高174億円、営業利益54億円。大きな新作がないなか、バックカタログとスマートフォンの運営タイトルが引っ張り、増収増益で着地した。売上に対する営業利益の割合は31.1%で、ゲーム会社として十分に立派な水準だ。

だが、この決算で目を疑うのはその下の行だ。経常利益157億円、経常利益率90.5%。売上174億円の会社が、売上とほぼ同じだけの経常利益を出している。

経常利益とは、本業の儲けである営業利益に、本業以外の損益――利息や資産運用の成果など――を足し引きしたものだ。多くのゲーム会社では、営業利益と大差ない数字になる。ところがコーエーテクモでは、事業で稼いだ54億円に対し、経常利益はその3倍近い157億円。差を生んだのは資産運用で、資料は「機動的に運用を行い伸長」「金融市場の動向を注視しながら運用を行い、利益を計上」と説明している。

コーエーテクモHD 2027年3月期 第1四半期 3ページ
P3この数字が載っているページ。コーエーテクモHDが公開した決算説明資料より(スライド部分を抜粋)。

まぐれではない――通期でも売上の半分近く

前年の同じ四半期も、経常利益は88億円、経常利益率は59.3%あった。もともと高かったものが、今期さらに跳ね上がった形だ。

では、これは金融市場の追い風によるまぐれなのか。通期の数字が答えを出している。前期(2026年3月期)の実績は経常利益率64.5%。今期の通期予想でも、経常利益420億円、経常利益率46.7%を見込んでいる。つまり四半期の瞬間風速を除いても、この会社は毎年、売上の半分前後を経常利益にする構造を持っている。90.5%という数字自体は市場環境しだいで上下するとしても――会社自身、業績予想は金融市場の動向次第だと注記している――運用が利益を大きく積み増す体質そのものは恒常的なのだ。

編集部の見立て:運用益がゲーム開発の体力を支える

ここからは編集部の見方だ。コーエーテクモは以前から「運用のうまいゲーム会社」として知られてきたが、今回の90.5%は、その姿がもっとも極端な形で表れた数字と言える。

注目したいのは、この運用力がゲームに還元される構造だ。同じ資料で会社は、第4次中期経営計画の3年間で1,100億円以上の成長投資を掲げ、人件費を年10%水準で増やしながら開発人員を拡充すると説明している。売上規模に対して異例に厚い利益の蓄えがあるからこそ、腰を据えた採用や大型タイトルの開発リスクを取れる、と見るのが自然だ。90.5%が示しているのは財テクの派手さではなく、ゲームを作り続けるための体力の厚さである。


出典: コーエーテクモHDが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。

本記事はコーエーテクモHDが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。