MIXIの2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高470億円、EBITDA 86億円。全セグメントで増収増益と、資料は胸を張っている。EBITDAとは、減価償却などを差し引く前の利益のこと。MIXIは事業ごとの利益をこの指標で示しているので、本稿もこれで追う。
売上の主役はスポーツ。利益の主役は別
売上高を事業別に見ると、最大はスポーツの216億円だ。豪州のベッティング会社PointsBet社が新たに連結され、競輪のチャリ・ロト社やネットドリーマーズ社も伸びた。次いでデジタルエンターテインメント事業の195億円、「家族アルバム みてね」を抱えるライフスタイルの43億円、投資の15億円と続く。
売上だけ見れば、いまのMIXIは「スポーツベッティングの会社」に見える。ところがEBITDAの表は、まるで違う顔をしている。
モンスト事業の108億円。会社全体の86億円より大きい
デジタルエンターテインメント事業のEBITDAは108億円。資料でこの事業の説明に登場するのは『モンスターストライク』だけで、中身は実質モンスト事業だ。
他の事業はスポーツが12億円、ライフスタイルが2.6億円、投資が8億円。そして連結全体のEBITDAは86億円。つまり、モンスト事業ひとつのEBITDAが、会社全体のEBITDAを上回っている。
なぜそうなるか。4つの事業の合計は連結全体より大きく、差分は本社機能などの「全社コスト」で消えている。資料にはその金額の内訳は載っていない。ただ構図ははっきりしている。モンストが稼ぎ、全社の費用と、育成中の事業の投資をまかなっている。
これは今四半期だけの特殊事情ではない。前年同期もモンスト事業のEBITDAは78億円で、連結全体の38.4億円を上回っていた。さらに資料の中期目標のページには、モンスト以外の「重点投資領域」のEBITDA構成比が、前期(2026年3月期)の通期実績で11%だったと書かれている。年間で見ても、利益の9割方はモンストの側にある。
肝心のモンストは、MAUこそ前年同期を下回ったものの、人気IPとのコラボで課金率とARPPUが上がり増収。コスト効率化も進み、EBITDAは前年同期の78億円から108億円へ積み上げた。7月のリアルイベント「DREAMDAZE IV」は2日間で1万人超を集め、新規ユーザー向けにホーム画面のUI改修も予告している。
会社の目標は「11%を60%へ」
MIXI自身も、この構図を変えようとしている。2030年代初頭の財務目標では、売上高を1,713億円(前期実績)から3,000億円へ、そして重点投資領域のEBITDA構成比を11%から60%へ引き上げると掲げた。PointsBet社の買収も、みてねの海外展開も、この数字のためだ。
一方でデジタルエンターテインメント事業の戦略は「国内におけるモンストの利益水準維持」。攻めではなく、守り抜く対象として位置づけられている。
編集部の見立て:MIXIの変身資金を出しているのはモンストだ
ここからは編集部の見方だ。
108億円対86億円という並びが示すのは、ゲーム1本がここまで大きく育った、という事実そのものだ。世間の話題はベッティングやみてねに移っているが、MIXIの土台は今もモンストであり、会社が「60%」という遠い目標へ挑めるのも、その稼ぎがあるからだ。
ゲームファンにとっての意味は明快だ。会社にとってモンストは、収穫して終わる畑ではなく、守り続けるべき本丸になっている。イベントに1万人を集め、UIを作り直し、AIで映像制作を約21日から約3日に縮めるのも、この本丸を長く保つためだ。長く遊ばれるゲームは、それだけで会社の柱になる。モンストの数字は、それを教えてくれる。
出典: MIXIが公開した決算説明資料(IRページ)。数値・スライド画像は同資料に基づく。
本記事はMIXIが公開した決算説明資料を基に、公開情報を要約・整理したものです。特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。文責:山口修平(Quest Board編集責任者)。










