世界遺産の街に、ストリートファイターが並ぶ理由

奈良県橿原市は、株式会社カプコンとの包括連携協定にもとづき、『ストリートファイター』シリーズを活用したまちづくりを進めていると発表した。2026年7月26日に韓国・釜山で開かれた第48回世界遺産委員会で、「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録が決定。これを受け、登録後の観光誘客と市内の周遊を促す取り組みとして位置づけられている。

橿原市は、藤原京が置かれた土地。そしてカプコンの創業者・辻本憲三氏の出身地でもある。縁は古く、1995年に開かれた藤原京創都1300年記念の博覧会「ロマントピア藤原京’95」では、カプコンがパビリオンを出展し、オリジナルアニメ『ストリートファイターII よみがえる藤原京~時を駆けたファイターたち』を上映していた。その後、シリーズ誕生35周年にあたる2022年8月30日に、市とカプコンが包括連携協定を結んでいる。詳しい経緯は市の連携ページにまとまっている。

駅前を埋め尽くす、29人の「キャラクターセレクト」

象徴的なのが、近鉄大和八木駅の北側にある噴水広場の壁画だ。高さ約2.7m、幅約9mという大きさで、画面の左右に1P側・2P側のキャラクターが立ち、中央には格闘ゲームの選択画面のようにリュウ、春麗など計29体が並ぶ。撮影された写真でも、ひとりずつ名前入りのパネルになっているのが確認できる。この壁画は橿原ロータリークラブからの寄贈で、奈良芸術短期大学の教員・学生と参加した児童が制作した。

駅の南側にある観光交流センター「かしはらナビプラザ」前には、リュウの銅像が立つ。同施設のグラフィティアートはカプコンからの寄贈で、周辺にはリュウと春麗をあしらったデザインマンホールも設置されている。

階段も駅名標も、ステージのように

装飾は広場の外にも広がる。大和八木駅の構内階段では、のぼり側にリュウとルーク、おり側にキンバリーとケンがデフォルメされたイラストで描かれ、上段にはゴウキやサガットの姿も見える。「のぼる」「おりる」の案内とキャラクター名が段ごとに添えられた、遊び心のある空間だ。ホームの待合室にも装飾が施されている。

JR万葉まほろば線では、香久山駅・畝傍駅・金橋駅の駅名標、計11か所にキャラクターが登場している。

香久山駅の駅名標
香久山駅
ケンとリュウが、拳を構えて駅名を挟む
畝傍駅の駅名標
畝傍駅
ジュリを含む2人が左右に立つ
金橋駅の駅名標
金橋駅
カラフルな衣装の2人が駅名を飾る

駅名標の下部には「ストリートファイター×橿原市」のロゴが入り、どの駅でも同じデザインでそろえられている。さらに、近鉄大和八木駅と橿原神宮前駅では、リュウ役・春麗役の声優による構内放送を2026年7月31日から1年間実施。2025年8月29日から2026年3月末頃までは、22種類のキャラクターデザインを施したラッピング列車も運行された。そのほか、周遊の手がかりとして「橿原市×ストリートファイター周遊マップ」も発行されている。

銅像は4体、次のオブジェは寄附で

これまでに設置された銅像は、リュウ、春麗、ケン、エドモンド本田の4体。写真はリュウと春麗で、技を放つ直前のような躍動感のあるポーズが再現されている。春麗像は、ふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディングで実現した。

市は令和8年度、5体目以降のオブジェ制作に向けた「ストリートファイターオブジェ制作プロジェクト」として、企業版ふるさと納税による寄附を募集している。詳しい条件や手続きは、リンク先の市ページで確認したい。

登録された世界遺産「飛鳥・藤原の宮都」とは

世界遺産の「飛鳥・藤原の宮都」は、橿原市、桜井市、明日香村にまたがる19の資産で構成される。6世紀末から8世紀初頭の約100年間に、中国や朝鮮半島との交流を通じて律令制にもとづく中央集権国家が形づくられていく過程を示すものとされる。橿原市内には、藤原宮跡、菖蒲池古墳、本薬師寺跡、大官大寺跡の4資産がある。市は、世界的な知名度を持つ作品の力も借りて、こうした歴史的資産をめぐる人の流れを広げたい考えだ。

映画公開直後のタイミングでも注目

2026年10月16日には、映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』が全世界同時公開された。製作総指揮には辻本憲三氏らが名を連ねる。映画の詳細は公式サイトで確認できる。作品への関心が高まる時期に、舞台となる街の取り組みにも改めて目が向きそうだ。

橿原市の観光情報や最新のお知らせは、橿原市公式サイトから確認できる。

橿原市

橿原市

奈良県のほぼ中央に位置し、大和三山を抱える市。藤原京の所在地であり、橿原神宮や重要伝統的建造物群保存地区の今井町などで知られる。2022年にカプコンと包括連携協定を結び、『ストリートファイター』を活用したまちづくりを続けている。