これまで非開示だった通期予想が、ついに数字になった

東証グロース上場のバンク・オブ・イノベーション(4393)は2026年9月29日15時30分、「通期連結業績予想に関するお知らせ」を開示した。これまで公表を控えていた2026年9月期の連結業績予想を、今回初めて示した形だ。同社の看板タイトルは、Steamでも展開されているスマホ向けRPG『メメントモリ』。今回の数字にも、このタイトルの動きが色濃く反映されている。

予想値と前期(2025年9月期)実績を並べると、次のとおりだ。

項目 2026年9月期予想 前期実績 前期比
売上高 120億円 123億6600万円 3.0%減
営業利益 20億2000万円 21億5400万円 6.2%減
経常利益 20億5000万円 21億8500万円 6.2%減
最終利益 17億円 13億5100万円 25.8%増

売上と本業の利益は小幅に下がる一方、最終利益だけは2割超の増加を見込む。方向のそろわない数字が並ぶ、少し珍しい予想と言える。

減収の理由は「広告を絞る」という判断

売上高が減る見通しの背景として、同社は『メメントモリ』で広告効率を重視し、広告の出稿量を抑えることを挙げている。とにかく露出を増やして新規ユーザーを取りにいくのではなく、費用に見合う成果が出る出稿に絞る方針、という読み方ができる。

ゲーム画面を見ると、ターン制の戦闘で桁違いのクリティカルダメージが並ぶ、派手な演出が印象的だ。長く遊ばれてきたタイトルだからこそ、広告に頼らず既存ユーザーを軸に運営していく舵取りが意味を持ってくる。

営業減益は「攻めのコスト」が理由

営業利益と経常利益がともに6.2%減る理由は、広告宣伝費の抑制やコスト管理に取り組む一方で、今後の成長に向けた開発・運営体制の強化に伴う費用が増えることにある。削る部分と厚くする部分がはっきり分かれた計画だ。

『メメントモリ』はキャラクターごとに主題歌やキャスト表記が付くなど、演出に力を入れたガチャが特徴のひとつ。画面のSRキャラクター「アムレート」にも、Song by あたらよ、CV 種崎敦美と表示されている。こうした作り込みを支える開発・運営の人員を増やしていく方向性が、今回の費用増の背景にあると見られる。

なお、報道では2026年9月期第3四半期末の従業員数は273名とされており、体制の強化はすでに進んでいる。

最終利益の増加をどう見るか

最終利益は17億円で、前期の13億5100万円から25.8%増える見込みだ。今回確認できた範囲では、最終利益が増える理由までは説明が見つかっていない。詳細は同社が開示する原文で確認したい。

広告を絞りつつ、開発・運営に投資して作品を育てていく。『メメントモリ』のような長期運営型タイトルにとって、その両立が今期のテーマになりそうだ。今後の開示は、同社のIRニュースのほか、公式のFacebookやX(@boi_pr)でも案内されている。