3つの都市を、ひとつの地図に詰めた

『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』は、2004年10月26日に北米でPlayStation 2版が発売されたオープンワールド型のクライムアクションだ。開発はロックスター・ノース、発売はロックスター・ゲームス。プレイヤーは1992年の架空の州サンアンドレアスを舞台に、母の殺害をきっかけに故郷へ戻った元ギャングの青年カール・ジョンソン(CJ)を操作する。衰退した仲間のギャングを立て直しながら、腐敗した権力やライバルの犯罪者と衝突し、母の死の真相に近づいていく。

三人称視点で、徒歩でも車でも自由に動ける。地図はロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスをモデルにしたロス・サントス、サン・フィエロ、ラス・ベンチュラスの3都市を、田園と砂漠でつないだ一枚続きの土地になっている。当初は公共交通機関でつなぐ3枚の別マップとして構想されていたが、最終的に1枚にまとめられた。ロックスターは各都市で現地取材を行い、ロサンゼルス出身のDJ Pooh、Estevan Oriol、Mister Cartoonに文化面の監修を仰いでいる。物語はロサンゼルスで実際に起きた複数の出来事を下敷きにしている。

『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』の画面

2年の開発と、その内側

前作『バイスシティ』の開発期間が1年だったのに対し、本作は2年。50人だったチームは『Manhunt』発売後に75人まで増え、テスト部門は60人から100人になった。プロデューサーのレスリー・ベンジーズは「オープンエンドなゲームプレイとゲーム制作の水準に革命を起こす」ことを目指したと語っている。予算は1000万ドル未満だった。

一方で、労働環境への懸念も記録されている。『バイスシティ』の後に十分な休みが取れず、1日17時間働く開発者もいた。プログラマーのGary Foremanは、会社が「恒常的なクランチ」に入ったことを危惧した。社長サム・ハウザーと労働環境をめぐって対立して去った者もいれば、本作や『Manhunt』におけるアフリカ系アメリカ人の描き方とゲームの搾取的なトーンに抗議して辞めた長年の社員もいた。

『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』の画面

絶賛と、社会問題

レビュー集計サイトMetacriticでの評価は「universal acclaim(絶賛)」。同サイトにおけるPlayStation 2タイトルの歴代5位にあたる。PSM2のDaniel Dawkinsは『ゼルダの伝説 時のオカペラ』——失礼、『時のオカリナ』(1998年)に次ぐ「家庭用機の歴史で最も完成され、唯一無二の世界」と評した。1Up.comのJeremy Parishは「ゲームのために作られた環境としてかつてなく完全で複雑かつ精緻」と書き、高速道路網や社会の力学の作り込みを称賛した。批判は技術面に集まり、ポップアップ(物が急に現れる現象)やフレームレートの不安定さが指摘された。PS2の性能を限界まで使っている、という見方もあった。

発売後、恋人と性行為を行える「ホットコーヒー問題」が浮上する。連邦取引委員会が動き、これを原因とする法案が提出されるなど、アメリカで大きな社会問題になった。日本語版はこの影響で発売が延期され、大幅な仕様変更を経て2007年1月25日にPS2で出ている。

続く作品に残したもの

批評家は本作を第6世代機を代表する一本、そして史上最高のゲームの一つに数えた。ロックスターはその後、よりリアリズムと細部に寄った路線へ移る。『GTA IV』(2008年)では建物の密度と精度を上げ、無意味な空白を削って「より焦点の絞られた体験」を目指した。『GTA V』(2013年)はロス・サントスを作り直し、サン・フィエロとラス・ベンチュラスを落とした。ダン・ハウザーは、3都市を詰め込んだことでロサンゼルスの再現に割ける力が限られたと振り返っている。アート部門のGarbutは、技術的制約ゆえに本作のロサンゼルスは「背景、あるいは通行人がうろつくゲームのステージ」のように感じられたと述べ、『V』の出発点と位置づけた。

作中の場面はインターネットミームとして生き続けている。Big Smokeの長すぎるファストフード注文(2016年)、CJの初期の台詞「Ah shit, here we go again」(2019年4月)。難所として知られるミッション「Wrong Side of the Tracks」の失敗時に飛ぶ「All we had to do, was follow the damn train, CJ!」は象徴的な決め台詞となり、『GTA V』でも参照された。MODでCJを『DARK SOULS』や『ブレス オブ ザ ワイルド』『ストリートファイター6』に放り込む遊びも定着している。

いま遊べるのか

発売当時はPlayStation 2(北米先行)で、その後Windows版とXbox版が出た。2013年にスマートフォン向けの完全移植(+α)版、2015年12月17日にPlayStation 3版。2021年11月11日には3作品をまとめたリマスター『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』が登場し、グラフィックが向上したうえ無規制で発売された。Steam版の配信は2023年1月20日に始まり、同年12月にはスマートフォン版も配信された。

いまはSteamでWindows版が販売中(ストアページ)。ユーザーレビューも投稿されている。価格と最新のレビュー評価はストアページの表示を確認してほしい。


1か所ミスがあったので直しておきます。本文中の「『ゼルダの伝説 時のオカペラ』——失礼、『時のオカリナ』」は推敲漏れです。該当文は「PSM2のDaniel Dawkinsは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(1998年)に次ぐ「家庭用機の歴史で最も完成され、唯一無二の世界」と評した。」に差し替えてください。

あと素材に売上本数・初週本数の記述がなかったので、売上の話は入れていません(指示どおり「無ければ触れない」)。Steamの価格とレビュー評価も素材に数値がなかったため、ストアページ参照という書き方にしてあります。数値を入れるなら教えてください。


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。