2006年10月24日、ユービーアイソフトから『ダークメサイア オブ マイト&マジック』(Windows XP用)が発売された。開発はフランスのArkane Studios。『マイト・アンド・マジック』の派生作品でありながら、中身はターン制のRPGではなく、剣を振り魔法を撃つ一人称視点のアクションRPGだった。

プレイヤーが操るのは、魔法使いフェンリグの弟子サレス。師の命でストーンヘルムの街へ送られ、「影の頭蓋骨」と呼ばれる強力な遺物を回収しようとする遠征隊に同行する。FPSとアクションRPGを掛け合わせた「FP/ARPG」という売り方をしていた作品で、ゲームエンジンにはValveの「Source」を採用している。

『ダークメサイア オブ マイト&マジック』の画面

『アークス・ファタリス2』になれなかった企画

この作品の出発点は、Arkaneの前作『アークス・ファタリス』だった。批評面での評価がValveと組んでSourceエンジンで新作を作る機会につながり、ラファエル・コランティオは続編『Arx Fatalis 2』を作るつもりだった。ところが1作目の売上が低調で、パブリッシャーが見つからない。そこへユービーアイソフトから、『アークス・ファタリス』のゲームエンジンを自社の『マイト&マジック』に当てはめてほしい、という依頼が来た。これがそのまま『ダークメサイア』になった。 ロールプレイング要素は前作より抑えられ、代わりに一人称の近接戦闘が磨き込まれた。

『ダークメサイア オブ マイト&マジック』の画面

物理演算で殺す遊び

この作品の個性は、物理演算を戦闘の中心に据えたことにある。 敵を蹴って落とす、念動力(テレキネシス)で物を飛ばす、炎で焼く──そうした手触りがレビューでも繰り返し挙げられた。グラフィックと物理演算は2006年の作品としては高く、オーストラリアのゲーム番組Good Gameは2人のレビュアーが揃って8/10を付け、豪Hyperは「テレキネシス、優れた戦闘、見た目の美しさ」を評価している。

表現の過激さも当時の論点だった。ドイツ版では敵の首や四肢の切断ができず、死後に串刺しにもできず、燃えた敵は即死して死体をそれ以上損壊できない、という変更が入った。ユービーアイソフトは国際版と同内容の限定版(英語のみ)を別に出し、ドイツでも販売した。2008年2月の審査では、ファンタジー世界の設定と作り込まれた物語に同等の比重が置かれているとして、無修正版も青少年に有害ではないと判断されている。

賛否が割れたまま終わった

評価は割れた。Metacriticでは両プラットフォームとも「mixed or average」。とくに米国とそれ以外の地域で反応が分かれた。 Game Informerはただ純粋に面白く、グラフィックも美しいと称賛したが、GameSpotは技術的な問題の多さ、反復的なゲームプレイ、先の読める物語、貧弱なマルチプレイを批判した。日本語版Wikipediaは、当時のゲームとしては破格の重さとバグの多さで不評だったため知名度も高くなかった、と記している。

Xbox 360版『Elements』は2008年に出た。シングルのレベル追加、マルチの刷新、多数のバグ修正を含んだが、IGNはRPG要素が4つの既定クラスから選ぶ形に簡略化された点を指摘し、GameSpotは「Sourceエンジンで動く最も醜いゲームかもしれない」と評して2008年の「Flat-Out Worst Game(まったくの最低ゲーム)」にノミネートした。日本では2008年7月17日に『マイト・アンド・マジック エレメンツ』として発売され、ファミ通のスコアは40点満点で22点だった。

残ったのはスタジオだった。 Arkaneはこの後『Dishonored』『Dishonored 2』『Prey』を世に出し、現在はBethesda Softworks傘下にある。『ダークメサイア』の続編は2012年に『Might & Magic』側のクリエイティブディレクターが検討中と語ったが、2015年10月時点でArkaneはすでにユービーアイソフトを離れ、続編を引き継ぐスタジオは見つかっていなかった。

いま遊べるのか

当時の対応機種はMicrosoft Windows(XP)。現在はSteamでWindows版が¥660で購入でき、レビューも付いている。 ストアページは store.steampowered.com/app/2100/。


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。