TITLE: 17年前の今日は、購入者が5〜15%と判明し「海賊恩赦」で2万本売った『マシナリウム』の発売日 TEASE: 遊んでいた人のうち、金を払っていたのは5〜15%。開発は7人で3年、宣伝費は1000ドル。17年前の今日発売

2009年10月16日、チェコの小さなスタジオ、アマニタ・デザインが『マシナリウム』をWindows・Mac・Linux向けに発売した。手描きの錆びついた機械の街を、小さなロボットが歩き回るポイント・アンド・クリック型のアドベンチャーゲームだ。画面に映るものを順に調べ、拾った道具を使い、仕掛けを解いて先へ進む。主人公のロボットは体を伸び縮みさせられ、届かない場所へ手を伸ばすといった動作そのものが謎解きに組み込まれている。日本語版はPLAYISMがローカライズを手がけた。

『マシナリウム』の画面

貯金で3年、宣伝費は1000ドル

このゲームを作ったのは7人のチェコ人開発者で、3年をかけ、資金は自分たちの貯金だった。マーケティング予算はたった1000ドル。もともとはXbox 360向けとして半年間開発され、Xbox Live Arcadeでの配信を目指していたが、マイクロソフトは最終的に配信しないことを決めた。開発者たちは第三者を通して作品を売り込むことに消極的で、それはXbox Live Arcadeの売上から開発者の取り分が大きく減ることを意味していたからだ。アマニタ・デザインはその後ソニーにアプローチし、PlayStation Networkでの配信にこぎつけている。

『マシナリウム』の画面

絵と音が先に評価された

Game RankingsとMetacriticの平均スコアは84.78%と85%。第12回Independent Games FestivalでExcellence in Visual Art賞を、PC Gamerの2009年度ベスト・サウンドトラック賞を受賞した。サウンドトラックはTomáš Dvořákが作詞・作曲・ミックス・プロデュースを担当し、14曲入りで2009年10月21日にmp3とFLACで配信されている。Academy of Interactive Arts & SciencesのOutstanding Achievement in Art Direction賞、Paris Game FestivalのMilthon賞にもノミネートされた。KotakuのPC Game of the Year 2009では2位(受賞はEmpire: Total War)、GamasutraやGamerviewなどは本作を「Best Indie Game of 2009」に選んでいる。2011年にはAdventure Gamersのアドベンチャーゲームトップ100で17位に入った。日本ではPS4版がファミ通クロスレビューで8・8・8・8の32点を取りゴールド殿堂入りし、レビュアーは伸び縮みするロボットの愛嬌あるアクション、アイテムのひねった使い道、ヒントの見せ方、グラフィック、アニメーション、BGMを挙げて評価した。同じ号でレビューされた10作品のうち、「今週はコレを買え!」にレビュアー6人中4人が本作を選んでいる。

「海賊恩赦」という売り方

高い評価の裏で、作品は別の問題に直面していた。2010年8月5日、Adventure Gamersの調べとして本作を遊んでいる人のうち購入した人は全体の5〜15%にとどまると発表されたのだ。アマニタ・デザインの対応は、取り締まりではなく値下げだった。価格を20ドルから5ドルに下げた「海賊恩赦」キャンペーンを実施し、当初8月12日までの予定を8月16日まで延長。この期間中に2万本を売り上げた。無断コピーで遊んでいた層に罰ではなく買う機会を差し出すというやり方は、インディーゲームの値付けと売り方の一例として記録されている。

パッケージ版も各国で出た。イギリス版のCollector’s Editionはサウンドトラックのデジタル版とCD、印刷された攻略ウォークスルー、A3ポスター、コンセプトアートを同梱して2010年3月5日に発売。ドイツ版やフランス版には前作にあたる『Samorost 2』が付属した。

いま遊べるのか

当時の対応機種はMicrosoft Windows、PlayStation 3、PlayStation Vita、PlayStation 4。2017年には開発元がAdobe FlashからDirectXエンジンに作り直しフルスクリーン対応の「Definitive Version」を出しており、2020年4月16日にはXbox One版も発売された。現在はSteamでWindows・Mac向けに**¥2,400で販売中。レビュー21,199件で好評95%**という評価が付いている。

ストア: https://store.steampowered.com/app/40700/

そして2026年10月8日、発売から17年近くを経て続編『Machinarium 2』が発表された。探索と謎解き、手描きのアートスタイルと語り口を引き継ぎ、1作目の物語の続きを描く。プレイヤーはジョセフとベルタを切り替えて操作し、それぞれの固有能力を使って謎を解くという。

Machinarium Short Trailer

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。