TITLE: 13年前の今日は、一度コメディになりかけて出荷不能だった『The Wolf Among Us』の発売日 TEASE: 開発中に一度コメディへ迷走し、出荷できない状態まで行ったおとぎ話の刑事ドラマ。続編は制作会社の倒産で一度消えた。13年前の今日発売

ニューヨークの片隅に、おとぎ話や民話、小説の登場人物たちが人間に紛れて暮らす「フェイブルタウン」という秘密の共同体がある。そこで起きた連続殺人を追うのが、保安官のビグビー・ウルフ——かつての「大きな悪い狼」だ。『The Wolf Among Us』は、童話のキャラクターたちを登場人物にした犯罪ドラマであり、ビル・ウィリンガムのコミック『Fables』を原作とする前日譚にあたる。

ゲームとしては、Telltale Gamesが得意としたエピソード型のアドベンチャーだ。全5話が2013年から2014年にかけて順次配信された。プレイヤーは会話の選択肢を選び、ときに即時の判断を求められながら物語を進めていく。派手なアクションではなく、選択と対話で筋書きが動くタイプの作品である。

『The Wolf Among Us』の画面

コメディになりかけ、出荷できない状態だった

Telltaleは2011年、ロバート・カークマンの『The Walking Dead』とウィリンガムの『Fables』、ふたつのコミックのゲーム化権を同時に取得している。ドラマ版『ウォーキング・デッド』が評価を集めていた時期と重なり、同社は先に『The Walking Dead』へ注力した。2012年4月に発売されたそれは批評的にも商業的にも成功する。

問題は後回しになった『Fables』側だった。Telltaleのジョブ・ストーファーによれば、開発チームは1年半にわたって物語の方向性に苦しんだ。一時はコメディ寄りの作品になっていたが、笑いの中身が乏しく、出荷できる状態ではなかったという。チームは態勢を組み直して作品を再定義し、発売は2012年初頭予定から同年後半へ、最終的に2013年10月まで延期された。

この遅れには副作用もあった。『The Walking Dead』で有効だと判明した仕組みを、そのまま『Fables』側に取り込めたのだ。遅延のあいだに企画は一度公開し直され、2012年10月のニューヨーク・コミコンで再発表、2013年3月に主人公の名を冠した『The Wolf Among Us』という題が明かされた。

『The Wolf Among Us』の画面

評価は脚本と空気に集まり、技術面は批判された

批評の反応はおおむね好意的だった。称賛されたのは物語、アクション演出、雰囲気、ビジュアル、そして原作への忠実さで、批判はテンポと技術的な問題に集中した。エピソードごとの評価には幅があり、Metacriticでは第1話「Faith」がPC版85点、第4話「In Sheep’s Clothing」はPS3版69点、最終話「Cry Wolf」はXbox 360版85点と上下している。

2014年のNAVGTRアワードではゲーム映像演出部門を受賞し、脚本・主演・劇中音楽など6部門でノミネートされた。2014年12月にはVertigo Comicsからコミック版が刊行され、ゲームの筋を追いながら登場人物と背景を掘り下げている。

続編の話は長く宙に浮いた。2014年7月の完結時点でTelltaleは第2シーズンを構想していたが、『Tales from the Borderlands』などの企画が先に進んでいた。2017年のサンディエゴ・コミコンで続編が正式発表され、2018年発売予定とされたものの、Telltaleは2018年9月に「乗り越えられない困難」を理由に大半の事業を閉鎖し、続編は他の企画とともに中止された。同社の資産はLCG Entertainmentが取得し、本作も再取得された作品のひとつである。

いま遊べるのか

2013年10月11日にXbox 360、PC、Macで世界同時発売。その後PlayStation 3でも配信され、PS4とPlayStation Vitaを含むパッケージ版が2014年11月に登場した。

現在はSteamのWindows版が**¥1,520**。40,355件のレビューで98%が好評という、13年を経ても揺らがない評価になっている。

ストア: https://store.steampowered.com/app/250320/

Episode 5 Launch Trailer

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。