1968年、アメリカ南部。ニューオーリンズをモデルにした架空の都市ニューボルドーで、ベトナム帰還兵リンカーン・クレイが育ての家族をマフィアに皆殺しにされる。残された彼は復讐のために犯罪の世界へ戻り、街を仕切る組織からひとつずつ縄張りを奪っていく——『マフィア III』は、復讐を動機に犯罪帝国を築き上げるオープンワールドのアクション・アドベンチャーだ。2016年10月、2K Gamesから発売された。プレイヤーは街を車で走り回りながら敵組織のシノギを潰し、奪った地区を部下に分配して勢力図を塗り替えていく。

開発は2Kの新スタジオ「Hangar 13」。『マフィアII』の発売直後に開発が始まったものの、初期の段階でつまずいた。シリーズ初期作を手がけた2K Czechが体制の立て直しを主導し、開発チームの多くがHangar 13へ移っている。復讐劇という筋書きは、前作とは違うストーリーラインにしたいというエグゼクティブ・プロデューサー、デンビー・グレイスの意向から生まれた。1968年のニューオーリンズを舞台に選んだ後、チームはシリーズ過去作から影響を引きつつ、リンカーンという主人公を中心に据えてゲーム全体を設計し直した。

『マフィア III』の画面

演技のキャプチャーに踏み込んだ作り

本作が技術面で踏み込んだのは、キャラクターの芝居だ。従来のゲームでは俳優が一人ひとり別々に演技し、それを後から組み合わせていた。『マフィア III』はセットを組み、複数の俳優が同時に演じたものをまとめてキャプチャーしている。相手の目を見て交わされる会話の間合いが、そのまま画面に乗る。発売後、批評家が真っ先に褒めたのはこの部分だった。

『マフィア III』の画面

評価は真っ二つに割れた

Metacriticでの総評は「賛否両論または平均的」。批評家は物語、キャラクター、人種差別を正面から扱う重いテーマを高く評価する一方で、繰り返しの多いゲームプレイと多数の技術的問題を厳しく批判した。

IGNのマーティ・スリーヴァは10点中7.5点をつけ、「リンカーンは素晴らしい主人公で、ニューボルドーはテーマ的に見事な舞台なのに、それが活かしきれていないのが残念だ」と書いた。VG247のアレックス・ドナルドソンは「今年のゲームの中でも屈指の物語、美しい見せ方、驚くべきサウンドトラック」を挙げつつ、「型どおりのミッション設計と怪しい挙動」を並べた。最も辛辣だったのはThe Guardianのサム・ホワイトで、5点満点の2点。「傑作になるための表面的な要素はすべて揃っている。脚本も演技も見事だ。だが、その下を支える機構が古くさく、絶望的に想像力に欠ける」。一方でForbesのブライアン・マジークは10点中8.1点を与え、「革新的な操作性を求めていないなら、これは所有すべき一本だ」と評している。

酷評されても、売れた

評価が割れたまま、商業的には成功した。発売週の英国小売チャートで『FIFA 17』に次ぐ2位。しかも英国での販売本数は前作『マフィアII』を58.7%上回った。日本でも売上チャート初登場9位、15,838本を記録している。物語と空気感だけで人を動かせることを、この作品は数字で示した。

いま遊べるのか

当時の対応機種はPlayStation 4(ほかにXbox One、Windows向けにも同時期に発売)。その後、2017年5月にmacOS版、2021年10月にGoogle Stadia版が追加された。

現在はSteamで660円(Windows・Mac対応)。ユーザーレビューは64,535件で、好評率57%——批評家の間で割れた評価が、そのままプレイヤーの評価にも残っている。

ストア: https://store.steampowered.com/app/360430/

Mafia III: Definitive Edition EN Unrated

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。