小惑星が落ちた後の荒野を、改造車とショットガンで駆け抜ける。『Rage』は id Software が開発し Bethesda Softworks が発売した一人称シューティングで、2011年10月4日に Windows/PlayStation 3/Xbox 360 向けに登場した(OS X版は2012年2月)。実在する小惑星「99942 アポフィス」が地球に衝突した後の近未来が舞台。プレイヤーは地下シェルターで冬眠させられた兵士ニコラス・レインとなり、一世紀後の荒野で目を覚まし、「オーソリティ」と呼ばれる抑圧的な組織に追われる身になる。

『Rage』の画面

出発点は「砂漠のマッスルカー」だった

デザインディレクターのマット・フーパーによれば、企画の原点は砂漠を舞台にしたマッスルカーという一つのイメージで、そこから終末後の世界が組み立てられていった。中核の開発者は約60人。単発ではなく、続いていくシリーズの第1作として作られた作品だった。発売前には『マッドマックス2』や『Duke Nukem』『Fallout』『Borderlands』と並べて語られ、荒野を車で走り、拠点で依頼を受け、銃で撃ち合うゲームとして受け止められていた。

技術的な位置づけも特別だった。本作は id Software の新エンジン id Tech 5 を使った最初のゲームで、創業者ジョン・カーマックの監修のもとで出た最後の id Software 作品にあたる。エンジンは2007年の Apple WWDC で技術デモとして初披露され、正式発表は QuakeCon。カーマック自身が明かしたところでは、未圧縮の開発ビルドは1テラバイトに達した。製品版も Windows と Xbox 360 は2層DVD3枚組、PS3は Blu-ray 1枚という容量で、ESRBレーティングはTeenを狙って作られたがMが付いた。

『Rage』の画面

E3 2010の賞を独占し、発売後は評価が割れた

発売前の評判は際立っていた。E3 2010のGame Critics Awardsで「Best Console Game」「Best Action Game」とグラフィックスの特別表彰を獲得。IGNのE3賞では「Best Overall Game」と「Best Shooter」、GameTrailersでは「Best New IP」「Best First Person Shooter」に加えPS3・Xbox 360・PC各部門と**ショー全体の最優秀作(Game of the Show)**まで持っていった。

発売後はMetacritic集計で全機種おおむね好評に着地したが、評価の中身は割れた。褒められたのはグラフィックス、ゲームプレイ、戦闘の手応え。批判が集まったのはストーリーとキャラクターの薄さ、そしてPC版の初期の動作不良だった。EGMNowはXbox 360版の映像表現、容赦のない戦闘、滑らかなアニメーション、敵AI、豊富なサイドミッションを評価し、不満は最終ボス戦だけだと書いた。GameZoneは8.5点を付け、**「期待された『BorderlandsとFalloutの融合』ではないが、id がいちばん得意なこと=敵の顔を撃つことに集中している」**と評している。Ars Technicaはより厳しく、物語の不在、掘り下げられないキャラクター、面白みのない依頼、そしてオートセーブのチェックポイント間隔が広すぎる「壊れたセーブ機構」を批判した。

その後に残したもの

本作はパブリッシャーの変遷も経験している。id は当初Electronic Artsとの提携を発表していたが、2009年6月に id を買収したZeniMax Mediaが発売権を持つと表明し、EAは関わらなくなった。Windows版は専用サーバーを持たず、家庭用機と同じマッチメイキング方式が採られた。Linux版は噂と期待があったものの、担当予定だったティモシー・ベセが退職し、カーマックが「ネイティブLinuxクライアントの予定はない」と明言して立ち消えになった(Wine経由でWindows版は動く)。続編『Rage 2』は id Software と Avalanche Studios の共同開発として、2019年5月14日に発売された。

いま遊べるのか

当時の対応機種はPlayStation 3、Xbox 360、Windows(のちにOS X)。いまはSteamのWindows版が**¥440**で購入できる。レビューは18,329件で好評78%。

ストア: https://store.steampowered.com/app/9200/

Rage Trailer

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。