店で買える『Doom』として登場した

『Doom II: Hell on Earth』は、id Softwareが1994年にMS-DOS向けに発売したファーストパーソン・シューティングだ。プレイヤーの視点そのものが画面になり、銃を構えて迷路のようなステージを走り回り、襲いかかってくる悪魔を撃ち倒していく。前作『Doom』が確立したこの形式を、本作はほぼそのまま引き継いでいる。

違ったのは売り方だった。オリジナルの『Doom』はシェアウェアと通信販売でしか手に入らなかったが、本作はシリーズで初めて最初から店頭に並んだ。ゲームの中身も、より大きなステージ、新しい敵、新しいパワーアップ、そして近距離で圧倒的な火力を出す新武器「スーパーショットガン」が加わっている。ステージの多くはサンディ・ピーターセンが設計し、アメリカン・マギーも重要な役割を果たした。

『Doom II』の画面

パレットに積まれて売れた

id Softwareは発売に備えて60万本を店舗に出荷したが、3か月持つと見込まれていたその初回出荷は1か月以内に売り切れた。予約が殺到して店頭での購入は難しく、商品は棚ではなくパレットに積まれて並べられたという(デビッド・クシュナー『Masters of Doom』より)。

数字はその後も伸び続ける。本作は1994年に米国で最も売れたコンピューターゲームとなり、1996年にも32万2671本・1260万ドルの収益で10位に入った。米国では1993年から1999年のあいだで3番目に売れたコンピューターゲームで、期間中の販売は155万本。米国での収益は最終的に8000万ドル、ヨーロッパでは2000万ドルに達し、累計は180万本超・全米だけで7400万ドル超と記録されている。クシュナーによれば、ヨーロッパの収益の30%は、このゲームの販売を禁止したドイツからのものだった。

批評は好意的で、オリジナルを良くしていたすべてを洗練させたと評された。一方でNext Generationは5点満点中3点をつけ、「一人称視点が業界全体の標準になった以上、idは新しい革新を見つけなければ、自分のニッチで追う側に回る」と釘を刺している。1994年のオリジン賞では「Best Fantasy or Science Fiction Computer Game」を受賞した。

『Doom II』の画面

最終ボスの中に隠された生首

本作を語るときに外せないのが、最終ステージのボス「Icon of Sin」に仕込まれたイースターエッグだ。2人のアーティストが、通常の手段では立ち入れないボスの弱点の内部に、ジョン・ロメロの生首をスプライトとして埋め込んでいた。ロケットを撃ち込んでこの首を破壊することだけがクリア条件になっている。使われた写真は、1994年のビジネスウィークの撮影からスキャンされたものだった。

ロメロ本人は、ステージの効果音作業のためにプレイしていて偶然これを見つけた。同僚の仕業だと察した彼は仕返しに、「To win the game, you must kill me, John Romero(ゲームに勝つには、私、ジョン・ロメロを殺さなければならない)」と吹き込んだ声をフィルターで歪ませ、逆再生した“悪魔の聖歌”としてボスの声に収録した。

拡張も長く続いた。1995年12月26日には21ステージ入りの公式拡張『Master Levels for Doom II』が発売され、3000本の自作ステージを集めた「Maximum Doom」も同梱された。Xbox Live Arcade版のために作られた9ステージの『No Rest for the Living』は、のちにUnity移植版の無料アドオンにもなっている。さらに2024年8月8日には、『Doom II』以来はじめて完全新規の敵と武器を備えた公式エピソード『Legacy of Rust』が追加された。2019年のVideo Game Canonによる53のベストリストの統計的メタ分析では、史上115位に位置付けられている。

いま遊べるのか

当時の対応機種はDOS、Classic Mac OS、NeXT、ゲームボーイアドバンス、PlayStation 3。その後もXbox Live Arcade、Nintendo Switch、PlayStation 4、Xbox Oneへと移植が続き、前作のソースコード公開によってiPhoneを含む数えきれないプラットフォームで動くようになった。

いまはSteamでWindows版が販売中。レビュー9,056件で好評95%という評価がついている。

ストアページ: https://store.steampowered.com/app/2300/

Trailer EN

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。