画面にあるのは、世界地図と死者のカウンターだけ
『DEFCON』は、イギリスの独立系スタジオ Introversion Software が作ったリアルタイムストラテジーだ。地球規模の核戦争をまるごとシミュレーションするゲームで、画面は『博士の異常な愛情』『未知への飛行』、とりわけ『ウォー・ゲーム』といった映画に出てくる、核戦争を映し出す巨大な作戦ボードを模している。暗い背景に線だけで描かれた世界地図、レーダーの円、ミサイルの軌跡。派手な爆発もキャラクターもない。
プレイヤーは大陸ひとつを任され、サイロや艦隊やレーダーを配置し、DEFCONの段階が5から1へ下がるのを待って核を撃つ。タイトルの綴りが「DEFCOИ」と一部逆さになっているように、この作品は勝ち負けよりも、核戦争という題材そのものを見せることに寄っている。それは副題にも表れていて、北米版は「Everybody Dies(みんな死ぬ)」、ヨーロッパ版は「Global Thermonuclear War(全面核戦争)」だった。

「史上最高の低価格ソフト」と呼ばれた
2006年9月29日、Introversionの自社ウェブストアとSteamでのダウンロード販売として登場した。評価集計サイトMetacriticでは「好意的」な評価を獲得している。
1UP.comは**「これまで作られた低価格ソフトの中で最高の一本かもしれない。3倍の値段のRTSに引けを取らない戦略性がある」と書き、インターフェースの単純さを褒め、戦略の奥行きを「とてつもない」と評した。同誌はビジュアルについても「その年のPCゲームで最も見栄えのする一本」としている。Edgeは「見せ方だけでも払う価値がある」。一方でEurogamerは「設計の面ではIntroversion作品の中で最も野心が小さい」「限界はゲームの基本的な射程そのものにある」と指摘しつつ、「インスピレーション元と同じくらい純粋で直接的なゲーム」**と評価した。
賞も獲っている。Computer Games Magazineの2006年「ベスト低価格ゲーム」を受賞し、同誌の年間ベスト10でも次点に入った。PC Gamer US の2006年「ベストインディーゲーム」も受賞している。
ダウンロード販売で出た作品が、翌年にはパッケージへ広がった。2007年4月5日、パブリッシャーのEncoreがアメリカでの販売を発表し、小売向けに初回5万本を発注。イギリスでは同年6月15日に店頭発売され、期間限定で同スタジオのデビュー作『Uplink』が同梱された。

プレイした人は「核戦争は起きない」と考えるようになった
この作品には、ゲームとしては珍しい後日談がある。カナダのコンコルディア大学の研究が、核戦争が起きる確率や自分が生き延びられるかを参加者に尋ね、二つのグループに分けた。片方は『DEFCON』をプレイし、もう片方は核兵器についての記事を読む。その後もう一度同じ質問をした結果、『DEFCON』をプレイした人は「自分は核戦争を生き延びられる」と考えなくなり、同時に「核戦争が起こりうる」とも考えなくなった。
いま遊べるのか
当時の対応機種についての記録は残っていない。販売はIntroversionのウェブストアとSteamでのダウンロードから始まり、翌年にアメリカとイギリスで店頭版が出た。
現在はSteamで**¥1,400**、Windows・Mac・Linuxに対応している。レビュー4,338件で好評87%。20年経っても、当時の1UP.comの評価どおり「値段の何倍もの戦略性」という売り文句が成立する価格帯のままだ。
ストアページ: https://store.steampowered.com/app/1520/
当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる
当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。











