TITLE: 16年前の今日は、武器を持てないホラーとして実況動画文化を押し上げた『Amnesia: The Dark Descent』の発売日 TEASE: 敵と戦う手段が一切なく、見つめると正気度が削れる。この設計が2010年のYouTube実況ブームを押し上げた。16年前の今日発売

2010年9月8日、スウェーデンの小規模スタジオ Frictional Games が『Amnesia: The Dark Descent』を発売した。Windows・Mac OS X・Linux の3プラットフォーム同時リリース。同社は既に『Penumbra』シリーズで一部に知られていたが、この作品が彼らの名前を一気に広げることになった。

『Amnesia: The Dark Descent』の画面

戦えないことを設計にしたホラー

プレイヤーは記憶を失った男ダニエルとなり、暗く陰鬱な城「ブレンネンブルク」を探索する。目的はただひとつ、モンスターと不穏な出来事を避けながら正気を保ち続けることだ。敵を倒す手段は与えられない。見つかったら逃げるか隠れるしかない。

この作品を特徴づけるのが正気度(sanity)の仕組みだ。暗闇に長くいても、モンスターを直視しても、プレイヤーの精神は削られていく。だが光を灯せばモンスターに見つかりやすくなる。暗闇に潜んで安全を得るか、光を得て正気を保つか——プレイヤーは常にこの二択を突きつけられる。ランタンのオイルと火口箱は有限で、その配分自体が緊張を生む。

『Amnesia: The Dark Descent』の画面

開発とリリースまでの道のり

開発が始まったのは『Penumbra: Requiem』がまだ制作中の時期で、Frictional Games は2つのプロジェクトを並行させていた。当時の仮題は「Unknown」と「Lux Tenebras」。現在のタイトル『Amnesia』が発表されたのは2009年11月13日で、ウェブサイトとトレイラーが同時に公開された。

2010年2月に全プラットフォームがアルファ段階に到達し、当初は8月の同時発売が予定されていたが、最終的に9月8日へ延期された。予約販売では興味深い試みがあった。5月31日までに予約が2,000本に達したら追加コンテンツを入れる、という約束である。割引価格を適用した結果、目標は5月上旬に達成された。追加されたのは、Valve が『Half-Life 2』シリーズで始めたコメンタリーシステムと同様の解説機能だった。

恐怖の記録と、その後に残したもの

批評家の反応は好意的だった。サバイバルホラーへの革新的なアプローチ、独自のゲームメカニクス、そして本物の恐怖を引き出す力が繰り返し評価された一方、物語の決着のつけ方や技術面には不満も指摘された。Rock, Paper, Shotgun の John Walker は**「Amnesia はプレイヤーを怖がらせることに関して、史上最も成功したゲームと言っていい」**とまで書いている。

もっとも Frictional Games 自身は、初期の売上について不安を見せていた。状況を変えた要因のひとつが、YouTube の実況プレイ動画の隆盛にこの作品が寄与したと評価されていることだ。武器を持てず、隠れて悲鳴を上げるしかないゲーム性は、他人がプレイする様子を見る形式と相性が良かった。

作品は複数の賞を受け、のちに「その10年でもっとも影響力のあったゲームのひとつ」「史上最高のホラーゲームのひとつ」と回顧されるようになる。シリーズは『Amnesia: A Machine for Pigs』(2013年、開発は The Chinese Room)、直接の続編『Amnesia: Rebirth』(2020年)、『Amnesia: The Bunker』(2023年)と続いた。2018年10月には本作にハードモードが追加され、オートセーブ無効・手動セーブに火口箱4つ消費・正気度ゼロで即死といった、より厳しい条件が用意されている。

いま遊べるのか

当時の対応機種は Windows・Mac OS X・Linux の3種。その後、PlayStation 4(2016年11月22日)、Xbox One(2018年9月28日)、Nintendo Switch(2019年9月12日・The Amnesia Collection の一部として)にも展開された。

現在は Steam で ¥2,300(Windows・Mac・Linux 対応)。レビュー35,712件で**好評95%**という評価を保っている。日本語には公式対応していないが、日本語化MODを入れることでプレイ可能。

ストアページ: https://store.steampowered.com/app/57300/

Amnesia: The Dark Descent Trailer

当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる


当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。