『R.U.S.E.』(ルーズ)は、フランスのEugen Systemsが開発し、ユービーアイソフトが2010年9月に発売したリアルタイムストラテジー(RTS)だ。舞台は1943年から1945年の第二次世界大戦・ヨーロッパ戦線で、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、ソビエトが登場する。キャンペーンは1944年後半のドイツ本土侵攻を軸に、実在の人物や地名を使って進む。タイトルの「ruse」は英語で「策略」を意味し、この作品では敵をだますことがそのままゲームの中心に据えられている。

力押しではなく、情報戦で勝つ
RTSは資源を集め、軍を増やし、正面からぶつけて押し切るジャンルとして知られる。『R.U.S.E.』が正面に置いたのは、**兵力による力押しではなく「情報戦」**だった。
プレイヤーは偽の部隊を置き、囮を使い、通信を偽装して、相手が持っている盤面の認識そのものを操作する。存在しない大軍を見せて敵を釘付けにする、あるいは本命の進撃路を隠す——こうした策略の一手が、そのままユニットのように運用できる。もちろん策略だけで勝てるわけではなく、経済をどう回すか、どのユニットを選ぶかも勝敗を大きく左右する。「相手が何を見ているか」を資源として扱った点が、当時のRTSの中で際立っていた。

空から地上まで、途切れずに寄る「IRISZOOM」
もうひとつの新しさは表示技術にあった。Eugen Systemsが自社開発したIRISZOOMエンジンにより、作戦地図のような俯瞰から個々の戦場まで、切り替えなしにシームレスにズームできる。策略の全体像を地図で組み立て、そのまま前線の細部まで降りていける構造は、情報戦というテーマと直結していた。
技術面では、マルチタッチスクリーンやPlayStation Moveへの対応、AMD Eyefinityの認証も受けている。当初はユービーアイソフトの常時インターネット接続を要求するDRMを採用する予定だったが、これは取りやめとなり、代わりにSteamworksが使われた。当時批判の的だった常時接続DRMを外した判断は、PC版の受け止め方に影響した。
評価は各機種で「おおむね好評」(Metacritic)。日本では2010年10月21日にPS3版とXbox 360版が発売され、ファミ通は両機種に29/40、ファミ通Xbox 360はXbox 360版に7・8・7・8の合計30/40を付けた。
発売後も更新は続き、2010年12月に2つのモードを追加する無料DLC「Manhattan Project Pack」、2011年1月に新マップと作戦を追加する「Chimera Pack」、2011年2月には日本を勢力として追加するDLCが配信された。
10年以上の空白と、開発元による買い戻し
そして2015年12月、この作品はSteamから姿を消す。理由が明かされたのは翌2016年3月31日で、ユービーアイソフトは**「ゲーム内の特定の軍事アイテムに関するライセンス権が失効したため、販売を終了する」**と説明した。すでに購入した人は影響を受けなかったが、新規に買う手段は断たれた。2018年にXbox 360版がXbox One向けの下位互換で復活したものの、PC版の空白は長く続き、2024年1月にはオンライン機能用のユービーアイソフトのサーバーも停止した。
転機は2026年5月。Eugen Systemsが本作の権利を自ら再取得したことを発表し、即日Steamでの販売を再開した。復活版は発売元がEugen Systems自身に変わり、Definitive Editionとして、それまで個別販売されていたDLCとUbisoft Rewardsの大半を最初から同梱。技術面の更新とSteam Deckへの完全対応も加えられている。権利の失効で消えたタイトルを、開発元が買い戻して自社で出し直した——という決着だ。
いま遊べるのか
当時の対応機種はPC(Windows)、PlayStation 3、Xbox 360で、2011年11月15日にはSteam経由でmacOS版も出た。
現在はSteamで**¥3,220**(Windows)。レビュー4,580件で**好評96%**と評価は高い。上記のとおりDLCは基本パッケージに統合済みで、Steam Deckにも対応している。
ストアページ: https://store.steampowered.com/app/21970/
当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる
当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(日本語版・英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。











