銀河を探索し、広げ、奪う
『Master of Orion』は、10ある種族の一つを率いて銀河の支配を目指すターン制のSFストラテジーだ。星系を探索して惑星に植民し、技術を研究し、他の種族とは外交で折り合いをつけるか、艦隊を送って滅ぼすか。「宇宙を舞台にしたシヴィライゼーション」と評されることが多いが、開発したシムテックスのスティーヴ・バーシアが下敷きにしたのは、自社で作った『Star Lords』というプロトタイプだった。
『Star Lords』は商品としては世に出なかった作品で、ファンからは「Master of Orion 0」と呼ばれている。グラフィックも操作画面も粗く、貿易や外交は単純、研究には方向づけがなく、使い切れない数の工場を建ててしまえる作りだった。バーシアがこれをマイクロプローズと、ゲーム記者のアラン・エムリックに見せたところから話が動き出す。エムリックとトム・ヒューズは設計の詰めに加わり、完成品のマニュアルには二人への謝辞が載った。二人はのちに本作の攻略本も書いている。

「4X」はこのゲームの紹介記事で生まれた
そのエムリックが、1993年9月の『Computer Gaming World』誌のプレビュー記事で本作を「銀河征服ものが差し出せる最良のもの」と評し、この種の遊びを**「eXplore(探索)、eXpand(拡張)、eXploit(開発)、eXterminate(殲滅)」の頭文字から「4X」と呼んだ**。いまジャンル名として定着している「4X」は、この記事が出どころだ。エムリック自身も後の論者も、同じ系統の先例として『シヴィライゼーション』(1991年)や『Reach for the Stars』(1983年)を挙げている。
同誌の12月の本レビューはさらに踏み込み、「ゲームデザインの不備を見つけるのに、こちらが努力しなければならない類のゲームだ。それ自体が、評者として与えうる最大の賛辞だろう」と書いた。締めくくりは「年間ベスト候補であると同時に、多くの離婚訴訟における証拠物件Aでもある」。本作は10万本以上を売り、『Computer Games Strategy Plus』の1993年ベストストラテジーゲーム、『Computer Gaming World』の1994年6月のストラテジーゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞している。後者の編集部は「『宇宙のシヴィライゼーション』と呼ぶに値するゲーム」と評した。
一方、1995年にテイクツーが移植したMac版をレビューした『Next Generation』誌は5点満点中2点をつけ、「今年のストラテジーゲーム、ではない」と切って捨てている。

続編が出るたび「1作目が一番」と言われる
1996年、『Computer Gaming World』は本作を歴代ゲームの33位に選んだ。1998年には『PC Gamer』が45位、2003年にはIGNが98位に挙げている。GameSpyの殿堂(2001年)にも、GameSpotの史上最高のゲーム一覧にも名前がある。Allgame、GameSpot、IGNは回顧レビューで、宇宙を舞台にしたターン制ストラテジーを測る基準そのものとして本作を扱った。
続編は『II: Battle at Antares』『III』『Conquer the Stars』の3本。グラフィックも音も格段に進歩し、ゲーム内容も大きく変わったが、シリーズで最良なのは1作目だと主張するプレイヤーは今もいる。本作に影響を受けたと評される作品はその後も数多く出たものの、オリジナルの手触りを再現できたものがあるかどうかについては、評者もプレイヤーも意見が割れたままだ。権利は2013年、アタリの破産手続きからウォーゲーミングが買い取り、現在も同社が保有している。
いま遊べるのか
当時の対応機種はDOSと、1995年に移植されたClassic Mac OS。現在はSteamで598円、Windows・Mac・Linuxに対応している。レビュー453件で「好評」(90%)。
ストア: https://store.steampowered.com/app/410970/
当時のトレーラーはSteamストアで視聴できる
当時の評価・開発の経緯は、Wikipedia(英語版/CC BY-SA)を参照した。画面写真はSteamストアの公開素材。











