車両を選ぶと、ハンドルの「刻み」まで変わる

株式会社トラムワークスは、鉄道運転シミュレーションゲーム用デバイス「トラムコントローラ」(仮称)を、2026年9月17日から21日まで幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2026」に初出展する。

最大の特徴は、ゲーム内で選んだ車両形式に合わせて、マスコン(アクセル)の段数やブレーキハンドルの手応えが変化すること。マスコンとブレーキの軸にモーターを搭載し、段数を刻む位置やレバーへ返す力をソフトウェアから制御する。

機械部品だけで操作感を作る場合、異なる車両へ対応するには専用部品や切替機構が必要になる。トラムコントローラでは感触そのものをモーターで生み出すため、部品を交換せず、一台で複数形式の運転台を再現できるという。

対応ソフトとして発表されているのは、函館の街並みと路面電車を再現したPC向け運転シミュレーションゲーム『TRAMCITY HAKODATE』。同作は函館市企業局交通部から物販許諾を受け、Steamで早期アクセス版が販売されている。

8000形と3000形、その違いを一台で再現

『TRAMCITY HAKODATE』では、函館市電8000形と3000形を運転できる。8000形のマスコンは「切」から力行7段までで、電制7段についてはゲーム側で今後対応予定。一方の3000形は「切」から力行4段までとなっている。

函館市電8000形と3000形におけるマスコンの操作範囲を比較した図
マスコンのモード切替
8000形の力行7段と3000形の力行4段など、車両形式に応じた刻みをモーターで生成する。
函館市電8000形と3000形におけるブレーキ操作の違いを比較した図
ブレーキのモード切替
8000形の直通空気式と、3000形の電気指令式を同じユニットで再現する。

ブレーキ方式にも大きな違いがある。8000形は「弛め・保ち・込め」の位置を使う直通空気式、3000形は「切」から7段と非常位置を備えた電気指令式だ。トラムコントローラは、ゲームからの指示に合わせて、この二つの操作体系を自動的に切り替える。

8000形を運転するときは、ゲーム内のブレーキシリンダーの空気圧に応じて、位置の境界を越える際の重さが変わる。対して3000形では、段を移動するたびに生じるカチカチとした感触をモーターで表現する。画面上の数値だけでなく、車両の状態を手元の反力として受け取れる仕組みだ。

実際にハンドルが動作する様子は、トラムワークスの公式YouTubeチャンネルでも公開されている。

紹介動画

実車用ドアスイッチと、針が動くアナログメーター

ドアの開閉操作には、実際の鉄道車両へ搭載されているものと同じ部品を採用。ドアスイッチメーカーから新品の供給を受けることで、本物ならではのクリック感や剛性を再現している。

メーターユニットも、路面電車らしいアナログ表示にこだわった部分だ。左側に速度計、右側にブレーキシリンダーとタンクの圧力計を配置し、ゲームに連動して実際の針が動く。上部には、扉の閉鎖や降車ボタンの操作状態を知らせるLEDも備える。

なお、製品化された際のメーターユニットはオプションとなる予定だ。

幅約65センチの試作機、PCとはUSB Type-Cで接続

試作段階の構成は、マスコンユニット、メインユニット、ブレーキユニット、メーターユニットの4点。並べた状態で幅約650mm、奥行き約200mmとなり、部位に応じてダイカストや削り出し金属、樹脂、木材が使い分けられている。

PCとはUSB Type-Cで接続し、GamePad HIDとして認識される仕様。汎用コントローラとして利用できるよう、CDCによるUART通信への対応も予定されている。対応ソフトは今後拡充される見込みだが、掲載写真は開発中の試作機であり、量産時には仕様や寸法、材質、仕上げなどが変更される可能性がある。

筐体と内部機構の設計には株式会社ティーエスイー、ハンドルの外観設計にはグレイスモデルが協力。試作は創業支援プログラムFFF Tokyo by @カマタの支援を受けて進められた。

2026年3月のFFF Tokyo「DEMO DAY」を皮切りに、NT函館mini2026や函館の異業種交流会「HAM」でも試作機を展示。実際のゲーム画面と接続し、三つの操作ユニットを並べた状態で試遊が行われている。

TGS2026では二つのブレーキ方式を乗り比べ

東京ゲームショウ2026では、幕張メッセ・ホール9のインディーゲームコーナー「09-E14」に出展。会期は2026年9月17日から21日までで、来場者は『TRAMCITY HAKODATE』を使った実機運転を体験できる。

試遊では、8000形の直通空気式ブレーキと3000形の電気指令式ブレーキを切り替え、同じハンドルが異なる感触へ変化する様子を比較可能だ。ブース情報はTGS2026出展案内ページでも確認できる。

価格や最終仕様、利用するサービスは未定だが、製造資金を募るクラウドファンディングを2026年冬に開始する予定。コントローラは、そのリターンとして支援者へ届けられる計画となっている。先行情報を受け取りたい人は、トラムコントローラのメールマガジンへ登録しておこう。

株式会社トラムワークスは、路面電車運転ゲームの開発に加え、ソフトウェアやハードウェアの設計開発支援を手がける企業。車両ごとの違いを映像や音だけでなく「手応え」まで含めて再現する今回の試作機は、同社の二つの技術領域を組み合わせたデバイスといえる。

株式会社トラムワークス

株式会社トラムワークス

株式会社トラムワークスによる発表。